企業には従業員の行為に対して責任を負う使用者責任があります。使用者責任とは、業務またはそれに付随することで、第三者に危害を加えた場合、被害者に対して事業主が賠償責任を取ることです。
近年訴訟が増えてきた「使用者責任」って何?
近年「使用者責任」に関する訴訟が増えていますが、使用者責任とは一体何を意味している言葉なのでしょうか。その点をチェックしてみました。
使用者責任とは、従業員が仕事上のミスで第三者に損害を与えてしまった場合、損害に対する直接的な加害者でない雇用主がその損害賠償責任を負う制度のことで、民法715条に規定されています。
貴社が労働災害により従業員等に対し法律上の損害賠償責任を負い、その損害賠償金の額が「政府労災保険からの給付額」、「自賠責保険等により支払われる額」、「貴社が定める法定外補償規定等に基づいて支払われる額」の合算額を超過した場合に、その超過額を賠償保険金としてお支払いします。
従業員が業務上の災害によって心身に障害を受けると、労災認定されます。そして、その認定において、会社側の安全責任に問題があるとされれば、会社は従業員に対して法律上の損害賠償責任を負います。そんな時に役立つのが「使用者賠償責任保険」です。
労災訴訟が会社に与えるダメージは何と言っても経済的損失です。
損害賠償金は年々金額は高額化しており、数千万円から億単位にまでのぼる判例も大変増えてきました。
使用者賠償責任保険は、労働災害が起こった場合で、貴社が労働者に対して法律上の賠償責任を負った場合で、その損害賠償金の額が
●政府労災保険からの給付額
●自賠責保険等により支払われる額
●貴社の法定外補償規定に基づいて支払われる額
の合計額を超過した場合、超過額の部分を賠償保険金として給付する保険です。
使用者賠償責任保険とは、第三者に与えた損害について法的に賠償責任を負った場合に備えられる賠償責任保険の一種です。賠償責任保険は、個人向けや法人向け、さらには補償内容の種類によってさまざまな保険商品が用意されています。
そのうち、会社が雇っている従業員に対して損害賠償責任を負った場合に保険金を受け取れるのが使用者賠償責任保険です。雇っている従業員は、仕事中にケガや病気になることもありえます。
賠償責任保険には、建設業や製造業、運送業など、それぞれの業種ならではのリスクをベースに補償プランが組まれた商品があります。リスクの種類ごとに必要な補償を1つ1つ選択して組み合わせたり、特約やオプションでさらに必要な補償をプラスすることができます。
一方、ほとんどの業種に共通して1つの保険であらゆる補償を包括的にカバーする総合型タイプもあります。選択が面倒な場合、自社に本当に必要か選択に迷う場合は、このタイプを選んでおくと不足することなく安心かもしれません。
使用者責任ですから、当然使用関係があることが要件となります。
使用関係は、通常、雇用、委任その他の契約に基づくものであることが多いですが、事実上仕事をさせているにすぎない場合も含まれます。すなわち、使用者と被用者の間に実質的な指揮・監督関係があればよいと考えられているのです。たとえば、下請人の不法行為についても、下請人と元請人の間に実質的な指揮・監督関係がある場合には、元請人も使用者責任を負うべきとされています。
・最高裁平成16年11月12日判決
階層的に構成されている暴力団の最上位の組長と下部組織の構成員との間に同暴力団の威力を利用しての資金獲得活動に係る事業について、
最高裁は、暴力団の最上位の組長と下部組織の構成院との間には、民法715条1項所定の使用者と被用者の関係が成立していることを認めました。
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