家主向けに家賃が保証される仕組みの一つにサブリース契約があります。これは不動産・管理会社が賃借人となって物件の一括借上げをして、それを入居者に転貸するものです。
家主にとっての賃貸契約の相手は不動産・管理会社となり、手数料・管理料を引いた毎月家賃の70%~90%程度の金額が必ず収入として入ってくることになります。
入居者が滞納した時だけでなく、空室になっている間も毎月一定額が入ってくるので、入居率を心配することなく安定した賃貸経営ができる仕組みと言えます。
空室があっても家賃の7~9割を保証してくれるので、家賃滞納や空室リスクの心配をせずに済むようです。
家賃保証サービスとは、借主が家賃保証会社に保証料を支払って保証人の代理となってもらい、借主が家賃を滞納してしまった場合に保証会社が立替払いをしてくれるというものです。
家主の賃貸契約の相手は借主(入居者)になるわけですから、管理会社に手数料や管理料を取られることなく100%の家賃収入が入ってきます。ただし、空室を保証するものではないため空室が続けばその間の家賃収入はありません。
このように一口に家賃保証と言っても性質の全く異なる2つのサービスが存在することは把握しておいた方がよいでしょう。
家賃滞納や空室リスクを抱える代わりに家賃の100%を収入にできるので、自分で運営管理できる人におすすめですね。
連帯保証人をつけられないときに保証対応
親族や知人・友人に連帯保証人を依頼できなかった場合や、高齢者や外国人滞在者など連帯保証人を立てられない場合も、家賃保証会社を利用すると入居審査に通りやすくなります。
家賃保証は貸主だけではなく借主にもメリットがあります。
水商売やアルバイトの人でも物件が借りやすくなる
水商売やアルバイトなどの職に就いている方も家賃保証会社を利用することで入居審査に通りやすくなる場合があります。
水商売の人は念のため不動産会社に相談してからのほうが良いでしょう。
初期費用が抑えられるケースがある
家賃保証会社の加入で敷金が減る、というケースがあります。家賃保証会社の役割でも述べたとおり、一般的に家賃保証会社は原状回復費用なども保証するので余分な敷金を預かる必要がなくなる=初期費用が抑えられます。
初期費用が抑えられるのはありがたいですね。
別途「保証料」という金銭的負担が必要になる
物件契約時に敷金・礼金などのほか、保証料というかたちで家賃保証会社への支払いが別途発生します。契約時より金額は下がるものの更新料を支払う必要も出てきます。
連帯保証人を頼める人がいない人にとってはありがたいですが、その分費用もかかってしまうようです。
借主側が家賃保証会社を選べないときがある
すべての物件・条件で契約者本人が選択した家賃保証会社が利用できるわけではありません。たとえば賃貸物件ごとに利用家賃保証会社が決まっている例。過去に同じ家賃保証会社に対して滞納していた方は要注意です。家賃保証会社内部の規定により、審査に通らず契約ができないことがあります。この場合は借主側で家賃保証会社を変更できません。
借主は家賃保証会社までチェックしてから物件を借りたほうが良さそうです。
家賃滞納時の回収対応が厳しい
家賃保証会社のシステムは家賃滞納時の回収代行という側面もあるので、従来の貸主側の支払い督促に比べ、家賃保証会社からの回収が厳しくなる傾向にあるようです。1か月の滞納で電話がかかってきますし、1〜2か月程度で訴訟の内容証明が送られてくるケースもあります。
万が一滞納してしまったときは、なるべく催促が来る前に払えるようにしたほうが良いでしょう。
保証契約してもらったら安心と思いきや、家賃保証会社も民間企業の1つなので、倒産する可能性も無きにしも非ずなのです。実際2008年に当時業界の中でも大手だったリプラスが倒産したことがあります。
家賃保証会社は保証契約をしている契約者が賃料を滞納した場合、貸主(管理会社)からの事故報告をもとにして一時的に賃料を立て替えます。これを「代位弁済」と言います。
これは借主に代わって家賃保証会社が一時的に代位弁済しているだけで、その後、家賃保証会社が貸主に代わって家賃回収を行います。
この代位弁済した賃料を回収できないと、借主に代わって家賃を払っただけになるので、毎月毎月赤字を積み重ねることになってしまいます。
たびたび家賃保証会社の取り立てが問題になるほど過剰になってしまうのはこういった事情があるからなのです。
契約者が家賃を滞納した場合、家賃保証会社へ滞納があった旨を報告しなければなりません。これを「事故報告」といいます。
毎月、確実に賃料の振り込みを確認し適切に事故報告ができている場合は問題ありませんが、なんらかの理由で「確認漏れ」や「報告漏れ」があった場合にその滞納分の賃料を代位弁済してくれなくなってしまいます。
「滞納が発生してから◯日以内」と保証会社との契約書に記載があるため、ここは確実に行っていく必要があります。つまり、家賃保証会社が全部やってくれるからといって業務がおなざりになってしまうと家賃を回収することが難しくなってしまうため要注意です。
万が一のときに代位弁済してもらうために契約しているのにその報告を忘れてしまっては本末転倒です。もし家賃を滞納してしまったときは気を付けましょう。
どの会社にも当てはまることですが家賃保証会社自体が「倒産」するリスクを内包しています。特に、賃料の未払いが複数月に及んだ場合には数カ月分の賃料の補填と訴訟にかかる費用を保証会社が負担することとなります。前述の通り、初期費用は多くて1ヶ月分であるため、保証会社内の複数の契約者が家賃滞納が発生して訴訟になってしまった場合には一気に費用が収入を上回ってしまうケースもあります。
そうなってしまった場合、もし保証会社が家賃の代行収納も行っていた場合はその回収していた賃料は「損失」となります。また、保証会社がなくなってしまうということは契約者以外に債務を保証している人がいない状態ということです。
つまり、契約者が滞納してしまった場合の保険が全くない状態ということになってしまいます。
もちろん、各家賃保証会社もそのリスクを回避するために様々な施策を行っています。ですが、利用する側としては正しくリスクを把握した上で活用することが求められると考えられます。
上手く利用できれば大変ありがたい家賃保証会社ですが、きちんと仕組みとリスクを把握してから利用しましょう。
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