【薬のまとめ】ワーファリン錠

成分名:ワルファリンカリウム

TAMA1982 さん

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V.Kと拮抗することで血液凝固因子の働きを抑える

ビタミンK作用に拮抗し肝臓におけるビタミンK依存性血液凝固因子(プロトロンビン、第VII、第IX、及び第X因子)の生合成を抑制して抗凝固効果及び抗血栓効果を発揮する。

また、本薬によって血中に遊離するPIVKA(プロトロンビン前駆体)が増加することにより抗凝固作用及び血栓形成抑制作用を持つ。

ビタミンKを阻害することにより、様々な凝固因子を抑制することで血液を固まりにくくする薬

血液凝固に関わる因子のうち、ビタミンKを必要とする凝固因子が存在します。

「抗凝固剤」といわれる薬で、血をサラサラにして血栓をつくりにくくする効果があり、心筋梗塞などの治療や予防に使われます。

ウィスコンシン大学のリンク博士が研究を続けた機関である Wisconsin Alumni Research Foundation (WARF) とクマリン (coumarin) の語尾を合わせて Warfarin (ワルファリン) と名づけられました。

凝固因子のうち、Ⅱ、Ⅶ、Ⅸ、Ⅹ番が作用するためにはビタミンKが必須です。このビタミンKに拮抗する作用(ビタミンKの作用を減弱させる作用)を持つのが「ワルファリン」でした。

ワルファリンは肝臓でビタミンKエポキシドレダクターゼ(VKORC1)とビタミンKキノンレダクターゼの両酵素活性を非可逆的に阻害する。

ワーファリンの作用機序を簡単に説明すると「ビタミンKの働きを邪魔することで血栓が作られるのを抑え、血液の流れを良くする」となります。

VKORとキノン型VKの還元酵素を標的分子としてVK酸化還元サイクルを止め、VK欠乏状態を惹起する。

V.Kを含む食品(納豆・青汁など)は避ける必要がある

ビタミンKを阻害する作用機序のため、ビタミンKを多く含む食品と一緒にワルファリンを服用すると、ワルファリンの作用が弱くなってしまいます。

そのため、ビタミンKを多く含む商品として納豆や青汁などと一緒にワルファリンを服用してはいけません。

納豆の他にも、クロレラ、青汁なども、納豆と同様にビタミンKを多く含むため、摂取を控えるように指導

納豆の影響は数日間続くとされていますので、ワルファリンを服用中の場合には、間隔をあけても、納豆を食べることはできません。

納豆を食べると、腸内でビタミンKが合成され、ワーファリンの効果を弱めてしまいます。

ワルファリン服用時は、納豆、クロレラなどビタミンKを多く含む食品を取ると効果が弱まってしまいます。

また、ロキソプロフェンやアセトアミノフェンなどの解熱鎮痛薬を飲むと、効果が強く出ることがあります。

2-メチル-1,4-ナフトキノンを共通構造として,その3位炭素に長さや不飽和度の異なる側鎖が結合した構造をもつ。

血液の凝固や組織の石灰化に関わっている。

ビタミンKと言えば、活性を有したビタミンK依存性凝固因子(VII, IX, X, II)を産生するのに必要なビタミンとして良く知られています。

ビタミンK依存性凝固因子の次に有名なのが、ビタミンK依存性凝固阻止因子である、プロテインC(protein C)、プロテインS(protein S)でしょう。

牧草から発見された成分をもとに改良

1920年、牛などの家畜が突然死する事件が起こります。関節や筋肉内に出血を起こして死んで行くのです。

調べるとスイートクローバーを食べた牛に起きていることがわかり、出血性スイートクローバー病と呼ばれ恐れられました。1933年、ウィスコンシン大学のリンク博士は死んだ牛の血液に興味を持ちます。5年かけてスイートクローバーから数mgのジクマロールを単離しました。

ワルファリンは米国でスイートクローバー病(家畜がスイートクローバーを食べて出血が止まらなくなり死亡する病気)の原因物質として見いだされたジクマロールの誘導体として1948年に合成されました。

腐ったスイートクローバーの出血素因物質としてDicoumarolを見つけ、その誘導体としてワーファリンを合成することに成功した。

同じマメ科のムラサキウマゴヤシも発酵(腐敗)の過程で ジクマロールが出来る。

ジクマロールを基にして、より強力な作用を持つ化合物を創製します。こうして生まれたのがワルファリンです。

干し草に使われたスイートクローバーで微生物によってクマリンが、さらに代謝をうけジクマロールができることが知られています。ジクマロールは脊椎動物の血液凝固反応を阻害する生理活性を示すため、これを食した家畜が出血死する症状が報告されました。

ジクマロールをリード化合物として、ワルファリンが作られました。

個人差が大きいため、血液凝固能検査で投与量を決める

ワルファリンほど内服量の個人差が著しい薬剤も珍しい。1日必要量が1.0mgで足りる症例から,10mgでもなお効果不十分な症例に出会うことも専門医の多くが経験していることであろう。

この薬を1日に飲む錠数と回数は、血液凝固能検査(プロトロンビン時間、トロンボテスト、INR)などの結果に基づいて医師により決められます。

ワーファリンは治療域(有効かつ安全な範囲)が狭いため、トロンボテストやプロトロンビン時間で評価しながら、最適な投与量を決める。

一般にはプロトロンビン時間、その補正値INRを用いることが多い。脳梗塞予防を目的としたINRの目標値は2.0~3.0。INRのチェックは、ワーファリン投与開始直後は週2~4回の採血が推奨され、ある程度経過しても6週間毎の採血評価は必要とされている。

プロトロンビン時間を調べる血液検査が迅速に行えるようになり、ワルファリンが人に対して使われるようになっていったのです。

トロンボテストで、10% - 20%、あるいはPT−INRが1.6 - 3.0になるように調整していく。

高度な抗凝固効果としはINR2.0 - 3.0、軽度の抗凝固効果としてはINR1.6 - 2.4と考えられている。ワルファリンの投与量と効果は単純な相関関係ではないため、管理は簡単ではない。

肝臓にあるビタミンKエポキシド還元酵素複合体(VKORC1)という酵素を阻害することで効果を発揮しますが、近年、VKORC1の遺伝子配列の個人差(遺伝子多型)がワルファリン服用量に影響することが明らかにされました。

日本人は少ない服用量で阻害効果が出る遺伝子型を持つ人が約80%を占めます。逆に欧米人は多く服用しなければ阻害効果が出ない遺伝子型を持つ人が大多数を占めます。

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