白ニキビ
ニキビは放っておくと、段階を経て悪化していきます。皮脂が毛穴に詰まることでできる「白ニキビ」に始まり、それが酸化した「黒ニキビ」、そして炎症した「赤ニキビ」などのステージが存在し、ケア法・治療法は同じではありません。最初の「白ニキビ」段階で手を打ち、重症化させないことが大切です。炎症してしまった肌はスキンケアが困難になり、対策の手が減ってしまいます。 また、ニキビは段階だけで区別できるものではありません。顔にできるニキビと背中や胸など体にできるニキビでは原因が違うこともあります。段階と患部に合わせた適切なケアをすることで、ニキビの再発を防いだり、ニキビ跡を残さないようにすることができます。ニキビの種類を知っておくことは実はとても重要なのです。
出典 ニキビの種類
皮脂が毛穴に詰まった状態を指します。毛穴が閉じていて白く見えるので白ニキビ(閉鎖面皰)と呼ばれています。毛穴に詰まった白い面皰はコメドや角栓ともいい、触るとプツッとした膨らみを感じますが、この段階ではまだ炎症は起きておらず痛みなどもありません。ニキビ跡のことを考えると、この段階で治してしまうのが理想的です。ニキビの中で唯一「潰していい」のがこの白ニキビです。無理に潰さなくても、丁寧な洗顔やピーリングを行うことで自然と毛穴が開き、詰まった皮脂が排出されることもありますが、このまま毛穴の詰まりを解消できなければ、毛穴が開いて酸化して黒くなる「黒ニキビ」か、そのままアクネ菌が増えて炎症を起こす「赤ニキビ」のどちらかに進行する可能性があります。
黒ニキビ
毛穴の入り口が多少開いていると、角栓の表面が酸化し黒く見えるので黒ニキビ(開放面皰)と呼ばれます。 白ニキビと黒ニキビについてはこの段階で上手に芯だけ押し出せば、跡を残さずきれいに治せる場合もあります。ただし爪や毛抜きなどで押し出すと、雑菌が入りやすいので、専用の器具(「コメドプッシャー」といい、薬局などでも購入ができます)を使うことをおすすめします。また、皮膚科でも針でニキビに穴を空け圧出する処置をしてもらえるので、セルフケアが難しい場合は相談してみるのも良いでしょう。潰した後は毛穴が開いた状態となるので、引き締め効果のある化粧水を使うなど、処置の後のケアもしっかりと押さえておきましょう。
赤ニキビ
皮脂を栄養源にアクネ菌が増殖していき、白ニキビや黒ニキビが炎症を起こします。これが、赤ニキビといわれる状態です。炎症は、人の体が「体に不利なもの」と判断した際に起こる防衛反応です。つまり、白ニキビや黒ニキビのアクネ菌が増えすぎなければ、炎症することはないということです。赤ニキビになってしまう前に、アクネ菌の増殖を抑えるニキビ肌用スキンケアを行いましょう。赤ニキビに進行してしまったら、治療薬が必要になります。抗菌薬(抗生物質)の塗り薬や飲み薬が有効です。症状が軽度であれば、皮膚科で処方される専門薬と抗菌薬の組み合わせによる治療を行えば良いですが、中等症~重症であれば専門薬と抗菌薬の塗り薬、飲み薬を組み合わせて使用します
黄ニキビ
赤ニキビが進行し、炎症を起こしている部分が毛穴に収まりきらなくなり膿をもってしまったのが黄ニキビです。この状態にまでなると激しい痛みを伴います。表面に膿が見えるため、押し出そうとしてしまいがちですが、炎症は皮膚の真皮層まで達しているので、白ニキビや黒ニキビのように角栓だけをすっきりと出すことはできません。アクネ菌以外の雑菌がニキビに入り込み、さらに悪化する恐れもありますし、ニキビ跡になる可能性も高くなります。皮膚科では抗生物質やステロイド剤で炎症を止める治療が行われます。また、女性の場合は男性ホルモンの働きを低下させる低用量ピルを用いることもあります。黄ニキビは自宅ケアではなく、皮膚科を受診することをおすすめします。
おでこニキビ
おでこにできるニキビは「思春期ニキビ」の特徴の一つです。おでこはいわゆるTゾーンの一角で、皮脂の分泌量が多い部位です。おでこは皮膚が薄く、炎症を起こすと痛みが出やすいことが特徴です。ニキビの悪化を防ぐには、皮脂分泌を促進する男性ホルモンを抑えるホルモン療法が効果的です。おでこは髪の毛やシャンプーのすすぎ残しなどによる刺激も受けやすいので、なかなか治らない場合は以下の点にも注意してみてください。
・アミノ酸系の低刺激のシャンプーを使用する
・洗顔の順番を洗髪後にする
・汗や皮脂をこまめに拭いてケアする
・前髪がおでこにかからないように結んだり上げたりする
・整髪料・スタイリング剤を地肌に直接つけない
顎ニキビ
口周りにできるニキビは「大人ニキビ」の特徴の一つです。20歳を過ぎるとニキビの発症部位は下へ下へと移っていきます。また、胃の不調が大きく影響しているともいわれています。アルコールの過剰摂取や食べ過ぎ、ストレスなども胃に負担をかけニキビ発症の原因になります。また、口周りは汚れやすく乾燥しやすいため、皮膚がかたく毛穴が詰まりやすくなっています。生活の見直しと合わせて、乾燥対策も考えましょう。 顎ニキビ予防には以下のことに気をつけてみてください。
・暴飲暴食を避け、胃を休ませる
・常に清潔になるよう心がけ、保湿ケアをする。
・軽い運動や、しっかりとした睡眠でストレスを軽減させる
・顎・口周りを丁寧に保湿する
背中ニキビ
主な原因は、ホルモンバランスの乱れ、過度のストレス、睡眠不足などが挙げられますが、背中にできるニキビは顔にできるニキビとは少し勝手が違います。角栓によって毛穴がふさがれ肩甲骨付近の活発な皮脂腺から皮脂が分泌されニキビへと悪化しますが、背中ニキビはアクネ菌ではなく、同じく皮膚常在菌(誰の皮膚にもいる菌)のマラセチア菌による場合もあります。マラセチア菌はカビの一種で、皮脂と湿気を好みます。顔ニキビと違い、自然治癒の可能性が低いかわりに、皮膚科で治療を行えば治りやすいのが特徴です。普段、なかなか目の届かないところですが、清潔に保つことが重要です。以下のことを今一度確認してみてください。
・肌着やパジャマなど肌に触れるものは毎日取り換える
・シャンプーやボディーソープは充分にすすぐ
・規則正しい生活でしっかりと睡眠をとりホルモンバランスを整える
・殺菌作用のある薬用ボディーソープを利用する
外的刺激から肌を守ろう
出典 プロアクティブ
まずは外的刺激から肌を守りましょう。髪はおでこに触れないように切ったりまとめたりするとすっきりします。特にニキビができてしまっているときは極力髪が触れないような工夫をすると効果的ですよ。またヘアスタイリングをするときは肌にも髪にもやさしい成分のモノ、たとえばホホバオイルなどを使うのがベストでしょう。
おでこニキビで多いのが洗顔料やシャンプーのすすぎ残しです。ぬるま湯を使ってしっかりすすぎましょう。いつも行っているよりも長めに行うくらいがちょうどいいのでぜひ実践し、洗う以上に念入りに行ってください。ただしっかりすすぎたいからと熱すぎるお湯を使うと肌バリアを低下させ、ニキビを悪化させてしまうおそれがあるので注意しましょう。
効果的なニキビスキンケアを
出典 プロアクティブ
ニキビを防ぐためにはまず皮脂を毛穴から取り除くために洗顔を行いましょう。ソフトピーリング作用のある洗顔料でやさしく汚れや古い角質を落としすすぎもしっかり行います。べたつくからと過剰な洗顔はよりベタつきを招いてしまうので朝晩の1日2回がベストですよ。
古くなった皮脂や毛穴の汚れ・皮脂つまりを除去したら最後は水分と油分をチャージしましょう。グリチルリチン酸2KやL-アスコルビン酸 2-グルコシドなどニキビやニキビ跡に効果的な成分が含まれているものなら効果的に働きかけておでこニキビを改善へ導きます。古い角質を正常にはがすために保湿はかかせないのでぜひスキンケアに取り入れてくださいね。
思春期ニキビができやすいおでこは正しいスキンケアが必要です。しかしそれだけではなく外的刺激も原因になっているので注意しましょう。特にシャンプーや洗顔料のすすぎは大きな原因と言われているので、せっかくのスキンケアをムダにしないためにもぜひ念入りに行ってくださいね。
ホルモンバランスの影響
あごにできるニキビの原因の筆頭に挙げられるのがホルモンバランスの影響です。女性の場合は性周期によってホルモンバランスが変化するため、それにあわせて肌のコンディションも変化してしまいます。女性の場合には、女性ホルモンの内の一つ、「黄体ホルモン(プロゲステロン)」は、皮脂の分泌を活発にします。
男性の場合は、女性のような周期的な変化はありませんが、もともと男性ホルモンの影響で皮脂の分泌量は多くなります。特に顎周辺はヒゲが生えるため剃刀などによって肌が傷つけられやすいことや、皮脂線の分布も多いことから、汚れやすく皮脂汚れが詰まりやすく、あごニキビの原因となります。
男女に共通してホルモンバランスが乱れる原因としては、ストレスや睡眠不足、生活習慣の乱れや環境の変化などが挙げられます。ストレスを感じるとステロイドホルモン(副腎皮質ホルモン)の分泌が促進され、さらには男性ホルモン(アンドロゲン)の分泌が促進されます。ステロイドホルモンも男性ホルモンも、皮脂の分泌を増加させるため、ニキビができやすい状態を招きます。
間違ったスキンケアやスキンケア不足
フェイシャルのスキンケアは毎日しっかりしているという方でも、顎やフェイスラインの辺りは行き届いていない場合も多いようです。すすぎ不足で洗顔料が顎に残っていたり、保湿化粧品がフェイスラインまでしっかり補えていないなど、心当たりのある方は気を付けた方がよいでしょう。
顎にニキビができているのに、洗顔時にしっかり皮脂汚れが落とせていないと、顎ニキビを繰り返す原因となります。男性の場合は、髭剃り後の保湿ケアを怠っていたり、洗顔で丁寧かつしっかりと皮脂汚れが落とせていないことが原因の場合も多く見られます。
また同時に、保湿不足が原因となる場合もあります。ニキビができたとき、まず洗顔を気にする方が多いのですが、そもそもの皮脂の過剰分泌の原因がお肌の乾燥である場合もあります。洗顔をきちんとしていても、保湿がなおざりになっていると、肌の内側が乾燥している「インナードライ」の肌状態を招き、皮脂分泌をさらに過剰にしてしまいます。
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