両親が離婚すると、子どもはどちらかの親と一緒に暮らすことになります。
このとき、子どもと一緒に暮らす親を監護親、一緒には暮らさない親を非監護親といいます。非監護親は子どもと一緒に暮らさないとはいえ、実の親であることに変わりはなく、子どもに対する責任が消えるわけではありません。
このため、監護親は非監護親に対し、子どもを育てるためにかかる費用を請求することができます。これが「養育費」であり、養育費を支払う非監護親は「義務者」、受け取る監護親は「権利者」と呼ばれます。
義務者は、子どもの数や年齢、夫婦それぞれの収入などを参考に算出された金額を、一定期間支払う義務があります。
未婚の場合でも、子どもを認知していれば養育費を受け取ることができます。義務者には、子どもに自分と同等の水準で生活をさせるべきだという「生活保持義務」が課されています。このため、養育費の金額は一律には決まっておらず、義務者の収入に応じて変化します。
算出された養育費は一括で支払うことも可能ですが、離婚後の事情の変化などに臨機応変に対応できるよう、養育費の月額を定めて毎月支払いし、ボーナス時に養育費一時金としてまとまった金額が支払われるケースが一般的です。
協議離婚するときに父母の話し合いで養育費を決めることは、法律にも定められています。
ただし、子どもの親権者の指定とは異なり、協議離婚の届出に際して養育費を定めておくことが手続上で必須であることにはなっていません。
婚の成立から養育費の支払いが終了するまでの養育費の総額は、子ども一人だけでも数百万円以上になることが普通に見られます。
養育費は、負担する側に重く責任あるものとなる一方で、受領する側には子どもの監護費用に充当する資金として欠かせないものとなります。
最終的な養育費の金額は、権利者と義務者との話し合いや調停で決まります。
話し合う際に損をしないよう、どれくらいの養育費が受け取れるのか、相場を知っておくことが欠かせません。
養育費は、子どもの年齢が14歳以下のケースと、15歳以上のケースで金額が大きく異なります。まずは、権利者が年収200万円、14歳以下の子どもが1人いるケースを見てみましょう。
義務者が年収300万円だと、サラリーマンでも自営業者でも相場は2~4万円ほどになります。義務者が年収500万円でサラリーマンでの場合は4~6万円が相場、自営業者の場合は6~8万円が相場となります。
自営業者のほうが月額養育費が高くなるラインは年収400万円以上です。
権利者が年収200万円で子どもが15歳以上のケースでは、義務者が年収300万円の場合、サラリーマンで2~4万円、自営業者で4~6万円が相場です。
義務者が年収500万円の、サラリーマンなら6~8万円、自営業者は7~9万円あたりが相場になります。
15歳以上になると教育関連のお金がかかるようになるため、14歳以下のケースと比べて2万円ほど多くなる相場傾向があります。
子どもの親権を得たものの、別れた夫からもらえるはずの養育費がもらえないのが深刻な問題となっています。
本来、離婚後の子供の養育費の支払いは、成人して社会人となって自立するまでの間に、別れた夫側が支払うのが法律上の義務です。
しかし、養育費が定期的にきちんと支払われているのは、離婚した夫婦全体のうちわずか2割程度であり、シングルマザーにとっては厳しい現状です
養育費の保証会社とは、養育費支払い人の連帯保証人を代行する役割を果たしています。
養育費が未払いとなった場合に、養育費を立て替えてくれます。そのため、別れた夫側から養育費を直接受け取る必要はありません。
また、未払いとなった場合に、シングルマザーの側から別れた夫に対して、直接的に督促する必要もなくなります。
保証会社が介入することで、立て替えた養育費を債権として回収する仕組みです。
保証会社との契約の際には、離婚協議書・公正証書・養育費に関わる合意書などの書類の提出が必要となります。
保証会社により、保証内容・保証期間・保証開始のタイミングにはそれぞれ違いがあります。
保証会社の利用者は、保証会社に対して初期費用・月額費用・法的手続き費用などを支払います。養育費の保証会社を利用する大きなメリットは、下記の3点です。
保証会社を利用する最大のメリットは、子どもの養育費を確実に受け取れることです。
養育費を受け取る側にとって、今後の生活にも安心感が得られます。
保証会社の利用期間中も、自治体の補助金支援制度を受けるとはもちろん可能です。
保証会社を利用することによって、不利益が生じる心配もなくて済みます。
基本的に、保証会社が元パートナーとの間に介入するため、相手側から直接養育費を受け取る必要がなく、連絡を取る必要もありません。
養育費保証自体が、まだ近年になって登場したばかりで新しいサービスです。そのため、創業年数・実績・経験が浅い会社が多いのが現状です。
そこで、保証会社を選択する前に、会社概要に着目する必要があります。運営母体となる企業が上場企業、または運営年数が長ければ信頼感が高まり、安心して利用できることでしょう。
養育費保証会社を利用の際には、保証料・月額利用料・更新料を支払う必要があります。
また、事務手数料が別途必要となる場合があります。リーズナブルな料金体系の保証会社を利用するのが最善ですが、逆に保証料があまりにも安すぎると、信用できるかどうか不安になります。
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