家族信託が必要な理由と家族信託にかかる4つの税金

年金の減少が取りざたされる昨今、個人や家庭におけるお金の管理が重要視されています。
中でも注目すべき存在として、家族信託が挙げられます。
家族信託の特徴と税金の種類について、知っていきましょう。

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家族信託って?

信金管理に詳しくない人からすれば、家族信託は未知の存在かもしれません。
まずは、知っておくべき家族信託の基礎からご紹介します。

家族信託は、ある目的のために家族に財産を信託するしくみです。相続対策で家族信託を活用すると、対象となる財産を自由に定めることができるほか、孫の代にわたる資産承継まで設計できるなど、他の相続対策では不可能だった対策ができるようになります。

財産が比較的少額な場合や第三者を入れずに家庭内で財産管理をしたい場合には、家族信託の活用が適しています。家族信託は受託者を家族の中から選ぶため、受託者に対する報酬は不要です。

家族信託が注目され始めた最も大きな理由は、超高齢社会に見られる日本の長寿化による相続対策だけではなく、病気のリスクにも備える必要が出てきたことによります。

家族信託をするメリット

なぜ今、家族信託に注目が集まっているのでしょうか。
家族信託だからこそのメリットを、ご紹介します。

親が前もって子に財産の管理・運用を託すことで、認知症になった場合も資産を凍結させることなく管理・運用していけると言う点。

本人の死亡により遺産をもらった者が既に財産管理の能力が無い場合には、結局その貰った受遺者に成年後見人を就けて、財産管理を担ってもらう必要が出てくるかもしれません。
しかし、家族信託だと、もともと「遺言」の機能として本人死亡後の財産の承継者を家族信託の契約書の中で指定できる上に、本人が亡くなった後も引き続き受託者の下で、財産の管理が可能となります。

不動産を将来的に兄弟・親戚等で共有せざるを得ない場合、あるいは、既に兄弟等で不動産が共有になってしまっている場合に、何らかの事情により共有者全員の同意(実質的には全員の実印の押印など)が得られなくなり、ベストなタイミングで不動産が有効活用・処分できなくなるリスクを回避できます。

家族信託をする上で覚えておいてほしい税金の種類

安心につながるメリットの多い家族信託ですが、税金についてはしっかり把握しておくべきです。
種類が多く、混乱してしまう場合があるためです。
主となる以下の4つを、覚えておきましょう。

委託者と受益者が異なる家族信託において家族信託契約が成立すると、信託財産の所有権は実質的に委託者から受益者へ移るため、委託者から受益者への贈与がなされたものとして扱われることになります。

したがって、このような場合には贈与税が発生し、受益者がこれを支払う義務を負います。

委託者の生前は委託者=受益者とし、委託者が死亡すると受益者が別の人(委託者の配偶者や子など)に移るパターンの家族信託では、贈与税の考え方と同じく実質的な信託財産の所有者に相続税が課されることになります。

■固定資産税

固定資産税は、1月1日時点における固定資産の所有者に対してかかる税金です。不動産を信託財産とした場合でも、同様に固定資産税が課税されることになります。

なお、固定資産税は財産の管理運営を行う受託者宛に請求されます。

これは、信託財産の所有権が、もとの持ち主から財産の管理人に移るからです。家族信託である財産を信託財産として管理運営を委託した場合、財産の所有権は元の所有者から財産の管理人である受託者に移ります。

■登録免許税

不動産を売買する場合、不動産を取得して登記した際には登録免許税が、その後は1年に1回固定資産税が発生します。

不動産を信託財産とする場合には、委託者から受託者に対して不動産の名義変更が行われるのが一般的です。

そのため、受託者は名義変更時に登録免許税を支払う必要があります(登録免許税は法務局に対して支払う登記の手数料のようなものです)

また、通常は不動産の売買契約を行った場合には不動産購入者は不動産取得税を負担しなくてはなりません。

しかし、信託の場合には特別の法律(地方税法第73条の7第3項)があるため、受託者は不動産取得税を負担する必要がありません。

家族信託の注意点について

相続などがスムーズにおこなえる点が魅力的な家族信託ですが、デメリットもいくつか存在します。
以下の注意点についても、把握しておいてください。

信託法上、信託された財産は受託者名義になります。

その為、不動産を信託財産とした場合は「信託」を原因として所有権移転登記を行いますし、金銭であれば、信託口口座を新たに開設して財産を分別管理(自分の財産と信託財産を分けて管理)を行う必要があります。

信託財産の中に収益不動産がある場合、信託財産から生じる不動産所得にかかる損失は、なかったものとみなされます(租税特別措置法41の4の2)。
つまり、信託財産たる不動産に関する損失は、信託財産以外からの所得と損益通算することや純損失の繰り越しをすることはできませんので、注意が必要です。

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