癌は我が国の死因の第一位を占め、医療技術の進歩に抗して患者数が増加し続けている。特に悪性神経膠腫(脳腫瘍)の治療成績はこの40年来ほとんど向上が見られず、新しい治療法の出現が待望される。そのような中、遺伝子組換えウイルスを癌治療に応用する「ウイルス療法」の開発研究が注目されている。単純ヘルペスウイルスI型(HSV-1)は癌治療に適した特徴を有し、研究代表者らはその開発研究で世界の先端を担ってきた。