藤堂氏が臨床試験中の「G47Δ」
口唇に皮疹を作る単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)を遺伝子操作して3種類の遺伝子を欠失もしくは不活化させて作ったがん治療用ウイルス。細胞の自滅を防ぐ遺伝子「γ34.5」を欠失させ、DNA合成に必要な遺伝子「ICP6」を不活化することにより、ウイルスががん細胞でのみ増殖し、がん細胞を破壊する。これら2つの遺伝子を操作したウイルス「G207」は米国で臨床試験が行われた。藤堂氏は「G207」では効果が不十分と判断し、さらに感染細胞が免疫システムから逃れるために必要な遺伝子「α47」を欠失させ、「G47Δ」を作成した。「G207」は正常細胞に感染しても細胞に影響を与えないが、がん細胞に感染するとそれを破壊する。「G47Δ」に感染したがん細胞はさらに、宿主の免疫機構からの攻撃にさらされることになり、抗腫瘍作用が増強されている。