ストレンヂア

ストレンヂア

天下を統べる者を失い、度重なる合戦の果てに下克上がまかり通り、力ある者も野盗に堕して無法が横行する戦乱の時代――。

はるか中国大陸から身よりを亡くした一人の少年が、禅僧祥庵に連れられて海を渡り、日本へと辿り着いた。その名は仔太郎。

だが、仔太郎の身体の秘密を求め、明国の武装集団もまた、上陸を果たしていた。祥庵の庇護も失い、天涯孤独となって愛犬・飛丸と赤池の国・白土の万覚寺を目指す仔太郎は、とある荒寺で自らの名を捨てて刀を封印した奇妙な剣士名無しと巡り逢った。大陸の刺客に襲われ、危ういところを名無しに救われた仔太郎。不敵な笑みを浮かべる浪人と他人を拒む少年は、最初こそ互いに反目を覚えたものの、やがて道中をともにすることになっていく。