キリスト教的な「天使と悪魔」は、まず「神と人間」の関係が中心にあって、そこに関与する形で加わってくることになります。人間は神によって創造され、「神の教え」を守っていくことで守護されたり死後天国に行けることになっています。この「神の教え」というのが重要で、基本はいわゆる「モーセの十戒」と呼ばれているものですが、「姦淫することなかれ」とか「嘘をつくな」とか道徳教育的な、人の生きる上でのルールになっています。神を信じるということは、ルールを守って正しく生きていけば、死んだときに天国に入れてあげるという「契約」を神と交わしたことになるわけです。
さてここで登場するのが悪魔という存在で、悪魔は神に敵対しているため、人間が神との契約を履行できないよう邪魔をします。人間を「誘惑」して、契約に反した不道徳な行為をさせようとするわけです。象徴的な出来事として、「エデン」にいた最初の人間「アダムとイヴ」のイヴに、禁じられていた「知恵の実」を食べるよう蛇がそそのかしたという出来事があります。蛇が悪魔の化身で、アダムとイヴは契約不履行のため楽園を追放されてしまったわけです。