前作『真・女神転生IV』は、天使と悪魔の対立に主人公が巻き込まれる形で物語が進行しました。しかし、そもそも天使と悪魔はどうして対立していたのでしょう。それは天使と悪魔という存在自体が、そもそも対立しているものとして人類の長い歴史に語り継がれてきたからです。
天使と悪魔が対立するという考え方は、基本的にはキリスト教的な概念として広く知られています。実際には、必ずしもキリスト教に限った話ではありませんし、「天使」はともかく「悪魔」という言葉は仏教用語にもありますし、悪人を「悪魔のような」と比喩表現に使ったりするように日常的に使われる一般名詞になっているのですから、日本人は特に悪魔と聞いて「キリスト教における悪魔」を思い浮かべる人は少ないかもしれません。『真・女神転生』シリーズにおいて「悪魔」という言葉にはさらに広い意味が含まれていて、神や天使も「悪魔」と呼んでいるわけですが、ここでは話がややこしくなってしまうのでキリスト教的な「天使と悪魔」に絞って話を進めます。