日本の「ふなずし」の歴史は、奈良時代にまで溯り、長屋王家木簡や二条大路木簡に「鮒鮨」や「鮨鮒」の語がみえている。平安時代の『延喜式』の記載によれば、近江国筑摩厨(滋賀県米原市)から「鮨鮒」が貢納されているが、「米」と「塩」を用いて作られていることがわかる[2]。また、江戸時代には、近江国(滋賀県)では、春季に捕れた鮒と、秋から冬にかけての紅葉鮒とを「ふなずし」にしていたが、夏季の高温の季節を経ない紅葉鮒の鮨(鮓)は醗酵が遅く、次第に廃れたものと思われる[3]。現在の滋賀県の「ふなずし」は、春季の鮒を用いることが行われている。