火山史

御嶽山の火山は、古期と新期の火山帯からなる。古期御嶽火山は約80-40万年前に噴出した溶岩と火山砕屑物からなる山体で、現在とほぼ同じ位置の火口からの比較的静穏な噴火により形成され、標高3,200-3,400 mほどの成層火山であった。その後約10万年前まで火山活動の休止期間が続き、山体は浸食を受けて深い谷が形成された。新期御嶽火山は約10-2万年前に噴出した火山であり、摩利支天火山群と西側の継母岳火山群に分類される。摩利支天火山群は、三ノ池火山溶岩流、ニノ池火山の成層火山斜面及び溶岩流、、一ノ池火山の成層火山斜面及び溶岩流、四ノ池火山の成層火山斜面及び溶岩流、継子岳火山の成層火山斜面及び溶岩流、摩利支天火山の前期火山群の火山帯斜面に区分される。カルデラが形成された後、ほぼ南北方向に並ぶ小火山群が、四ノ池火口(溶岩と火砕物)、一ノ池火口(溶岩と火砕物)、二ノ池火口(溶岩と火砕物)、四ノ池火口(降下スコリア)、三ノ池火口(溶岩)、五ノ池火口(少量の火砕物)の順に噴火活動をした。噴出量は四ノ池火口からのものが最大で、一ノ池火口と二ノ池火口は山頂の小カルデラ内に形成されたもので、現在の御嶽山の最高点の剣ヶ峰の火口丘が形成された。約9,000年前に噴出した最も新しい溶岩流である三ノ池溶岩流は、ほぼそのまま残っている。その後二ノ池の北畔に東西に並ぶ小規模の爆裂火口が形成された。最近1万年間で、4回のマグマ噴火と12回の水蒸気爆発が起きたことが判明している。『御嶽山 地質と噴火の記録』千村出版によれば、774年と1892年に噴火活動があったとされているが、その研究によりこの2回の噴火は発生していなかったことが明らかとなっている。1979年(昭和54年)10月28日に発生した水蒸気爆発では、地獄谷上部の標高2,700 m付近を西端とし東南東に並ぶ10個の火口群が形成され、10万 m3ほどの小規模な噴出量であった。その後の火山活動はごく小規模で、1991年5月中旬と2007年の3月後半にごく少量の火山灰を噴出し、79火口群の一部の八丁ダルミ直下南と山頂直下南面の地獄谷の上部の噴気孔から噴気活動が続いている。