遺言4
				 
			
「えー、Kです。このビデオを・・るということは、僕は・・んで 
しまっ・・いう・・ります。○○(奥さんの名前)、××(娘の名前)、 
今まで本・・ありが・・・」 
Kが喋る声に混ざって、さっきからずっと鳴り続けている 
ヴーーーーーーという雑音がひどくて声が聞き取りにくい。 
「僕を育ててくれたお父さん、お母さん、 
それに友人のみんな、僕が死んで悲しんでるかもしれませんが、 
どうか悲しまないでください。僕はズヴァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア 
アアアアアアアアアアアアア××(娘の名前)、お父さん死んじゃっヴァアアアアアアア 
アアアアアア死にたくない!死にズヴァアアアアアアアにたくないよおおおおヴヴァアア 
アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア、ザッ」 
背筋が凍った。 
最後の方は雑音でほとんど聞き取れなかったが、Kの台詞は明らかに撮影時と違う 
断末魔の叫びのような言葉に変わり、最後Kが喋り終わるときに 
暗闇の端から何かがKの腕を掴んで引っ張っていくのがはっきりと見えた。
これを見た親族は泣き叫び、Kの奥さんはなんて物を見せるんだと俺に掴みかかり、 
Kの父親は俺を殴りつけた。奥さんの弟が、K兄さんはいたずらで 
こういうものを撮るような人じゃないとなだめてくれたおかげで 
その場は収まったが、俺は土下座をして、すぐにこのDVDは処分しますと 
いってみんなに謝った。 
