「正木派は連立解消、小選挙区からの撤退も視野に
強硬姿勢を貫いているという。一方、創価学会と
公明党の意向を反映させた上で
集団的自衛権の行使容認を承諾しようと狙う谷川派は、
自民党におもねようとしている。そのため、職員間からは
『この問題の成否が、原田稔会長後の次期会長を
占う物差しになる』との声も上がっているのです」(同)

もっとも、この争いに火に油を注いでいるのが、
他ならぬ安倍首相だとの情報もある。
というのも、集団的自衛権の行使容認成立に
執念を燃やす安倍首相は、春先から創価学会内部に
手を突っ込みだしたと評判だったからなのだ。

その経緯を全国紙政治部記者がこう話す。

「実は、9月の臨時国会までに集団的自衛権を巡る
憲法解釈変更の日程を描いていた安倍首相は、
学会の懐柔を指示。
今年3月に女房役である菅義偉官房長官が、
学会の佐藤浩副会長と密談に及んだことが永田町でも
指摘されていたのです。


ちなみに、佐藤氏は“谷川氏の右腕”と評される人物だが、
密談の席上、菅氏は『行使容認の与党合意は急がない』
『悪いようにはしない』と手形を切ったとも伝えられている。
憲法解釈の見直しに慎重な公明党を介さず学会幹部と
密談に及んだのは、 ひとえに公明党を軟化させようとの
魂胆からだろうが、今では学会内部に安倍首相が
学会の分裂、崩壊を誘っている、との悪評も渦巻きだしているのです」

またその一方、創価学会内部には、これとは別の確執も
急速に芽生え始めているという。
それが、関西と関東の組織が繰り広げだした“連立攻防戦”なのだ。

創価学会ウオッチャーが言う。「原因となっているのが、
来年行われる統一地方選なのです。
公明党の漆原良夫国対委員長が、5月末に『政府・
自民党との対立が深刻化した場合は連立からの離脱もある』と
発言したが、学会内部はこれに大揺れ。

特に常勝関西の名を欲しいままにし、“学会の金城湯池”と
謳われた関西創価学会は連立を離脱した場合、
統一地方選で全滅する可能性が高いと青ざめている。

大阪都構想で公明党は『日本維新の会』に反旗を翻し、
選挙協力をご破算にしたばかりのため、
自民党との選挙協力がなければ誰も当選できない状況だからです。
そのため、本部の意向を堅持する関東と関西側が
対立を深めているのです」

実際、このバトルは今や永田町でも評判となっている。
というのも、前述した漆原氏の「連立離脱発言」に
公明党執行部は大慌て。
「漆原も自公連立で当選してきたのに何を言っているのか」
と叱責すると詫びを入れさせ、同党と創価学会内部に
「連立維持派」と「離脱派」が
混在することを露呈してしまったからなのだ。

「つまり、学会内部では関東vs関西組織の争いが顕著化し、
それが正木氏と谷川氏に相乗りする形で対立に拍車が掛かっている。
しかも、こうした支持母体のゴタつきぶりに、公明党上層部も
『連立維持派』と『離脱派』に割れだしている。
対外的には行使容認に反対しているものの、内部は
収拾のつかない状態なのです」(前出・ジャーナリスト)

一連の騒動で気になるのは、なぜ創価学会が
集団的自衛権の行使容認問題でここまで分裂の兆しを
見せ始めたのかという点だろう。
これには、同団体の“お家事情”が色濃く反映されているのである。

前出の政治部記者が言う。「そもそも、今回の分裂は
正木氏と谷川氏を中心として起きており、次期会長レース
が根底にあるのは明らか。
創価学会のドン”池田大作名誉会長の求心力が、
もはや組織内に存在しない状態であることが窺えるのです。
つまり、裏を返せば集団的自衛権の行使容認問題は、
この抗争が激化する契機だっただけと見える。そのため、
今後も学会内部の分裂が加速化する可能性が高いのです」

果たして、内部分裂は今以上に進むのか。
日本最大の宗教団体から目が離せなくなってきた。(抜粋)