<黒田ライブ会見で短期マネーが撤退>

4月8日、日経平均のインプライド・ボラティリティ(IV)<JNIATMIV.OS>で、残存期間30日のIVが60日と90日のIVを約2カ月半ぶりに下回った。日経平均オプション市場の値から算出されるIVは、残存期間が短いほど低い数値となるのが基本的な仕組み。2013年4月4日の異次元緩和以降、残存期間の短いIVが長いIVを上回る「逆転現象」が起こっていた営業日は8割を超えていたが、ようやく解消された格好だ。

4月8日といえば、日銀金融政策決定会合後の黒田東彦総裁による記者会見で、初めて動画によるライブ放送が行われた日。これまで海外の投資家は会見内容を文字ベースでしか受け取れなかったが、ライブ放送により、黒田総裁の表情や声色、仕草などがダイレクトに伝わり、8日の会見では「思っていたよりも強気な黒田総裁の姿勢を感じ取った投資家が多かった」(外資系証券)という。

5月7日に日経平均が急落したときは30日のIVが60日や90日のIVを一時的に上回ったが、それ以外は通常のIVの期間構造を維持。14日には30日、60日、90日のIVが2013年11月以来、約6カ月ぶりにすべて20を下回った。目先的な追加緩和はないと判断した海外ヘッジファンドなどの短期資金が東京市場から引いている構図が浮かび上がる。