「『生理的にムリ』とは、『その人の子どもが産めるか? 』という基準のもと、女性が男性を見るときにのみ発生する感情と言っていいでしょう。言葉の通り生理ですから、つまりは『自分の子宮に合わない、自分の子孫を残すのにはこの人では不安』と感じる感覚のことです。男性には子宮がなく子どもが産めませんから、『生理的にムリ』の感覚にピンと来ないのも当然。生理的に合わないと感じることは、人(=ホモサピエンス)の動物的感覚がそう判断させているということなのです」(荒木さん)

ところで、こうした感情を抱くまでには何らかのきっかけがあるはず。具体的には女性は男性のどんなところを見て「この人との子孫を残すのは不安」と感じるものなの?

「特に関係が深いのは、ニオイです。人の体臭には『HLA遺伝子』という情報が含まれており、男女間ではHLA遺伝子の似ていない者同士が性交渉をした方が、免疫能力が高く丈夫な子孫が残せるとされています。女性は子供を産んで育てるという役目がありますから、より強い子孫を残すために、男性とのHLA遺伝子の相性を嗅覚で嗅ぎ分けるのです。このとき、汗臭いと思ってしまうのが生理的にムリな相手で、心地良いと感じるのが相性のいい男性ということです。

とはいえ、ニオイに限らず『生理的にムリ』の感情が湧き起こるポイントは人それぞれ。ある人は、男性の毛深い腕を見て第一印象で『この人には抱かれたくない』と感じるかもしれないし、別の人は、食事中のクチャクチャという咀嚼音を不快に感じ『この唇にキスされるのは勘弁…』と思うかもしれません。また、食後に爪楊枝で歯をツーとする姿など、何気ない仕草や振る舞いを見て男性に幻滅する人もいるでしょう。女性は、視覚や聴覚や嗅覚といった五感のそれぞれを使って、その男性と何かが合わないことを察知するのです」(同)

 五感がどう反応するかは個性のようなもの。だからこそ、ある女性から見ればイケメンでも、別の女性からみれば「生理的にムリ」となることもありえるってことですよね。