4年前 先輩と彼女と、彼女の知り合いの男女と4人でデートすることがあった。帰りにメシ食ってたら、知り合いの女の子が
「ヤマニシさん見に行きたい」
って言い出したんだって。先輩と、その男女ってのは面識なくて、その日が初対面だった。先輩の彼女が、男女の男の方と同じ中学だったとかの仲で、男の方は大人しい感じだったらしい。
もう夜も遅いし先輩も彼女もヘロヘロだったから帰りたかったし、その女の子が勘違い爆発な奴で、途中から先輩もキレ気味だったんだけど、その女の子がけっこう可愛くて、もう一人の男のほうがヘラヘラ機嫌取ってるような感じだったんで、こいつらつきあってるわけじゃねーのかよ、なんだかなー思ったんだけど、この場はこいつの顔立ててやっとこか、みたいなノリで、行くことにしたんだって。
そのゴキゲンくんと勘違い女(気の毒なのでX男とY子にしとく)、ネットの掲示板か何かで知り合ったらしかったのね。ようするに、ちょっとインドアな感じのカップルだった。
そのころ地元でちょっと有名になった話で、ラブホ山の裏の廃屋に
ヤマニシさんがいて、こちらから
「ヤマニシさん、ヤマニシさん」
て呼ぶと
「もーすもーす」
とか何かいう声で応えるらしい。Y子はその話をどっかから聞いてきたらしくって、
「車あるんなら行きましょーよー」
って言ってたそうな。俺等のいる街から車でちょっと行ったところに、ラブホが沢山建ってる山があって、その裏の方にお屋敷通りがあるんだけど、そこは、基本的に表から車でぐるっと上って、降りていかないとそっちに行けない様になってるから、確かに車じゃないと、裏から歩いて上るしかない。まぁ車があればこれ幸い、と言うのはわかるんだけど、なんかとことんまで図々しい奴だなぁ、と先輩も思ったらしい。でも、なんだかんだで行くことにした。
まぁ帰りに適当なこと言ってホテル行くか? とは先輩思ってたんだろうけど。(笑)
先輩の彼女は、相当嫌がってたんだけど、なんとか言い含めた。Y子はそうとうはしゃいでいたらしい。だーれもオマエの話なんて聞きたくないっちゅうのに、自分の知ってる怪談話をペラペラしゃべりだしたりして、まぁ後になって考えるとおかしい状態に入ってたのかもしれんとは、先輩言っていた。結局夜中だし、車で乗り付けるわけにもいかないので、山頂から少し下った駐車場に車を止めて、Y子が教わったっていう廃屋の場所まで歩いて行った。