中国人民銀行(中央銀行)は、株式の取引約定日の当日に決済を行う当日決済(T+0)について、本土市場への導入に慎重な姿勢を示した。
中国本土では現在、約定日の翌日に決済を行う翌日決済(T+1)方式がとられているが、当日決済方式に移行すれば、当日買った銘柄をその日のうちに売却することが可能になる。
人民銀行は金融安定報告で「T+0取引は、市場心理の変化に速やかに対応でき、利益の確定や損失の拡大回避に確実に寄与し得る。市場の活性化や証券会社の収入拡大につながるということも可能だ。ただ、T+0取引には無視できないリスクもある」と指摘した。
中国では昨年8月、光大証券の誤発注で株式市場が乱高下。個人投資家を保護するため、当日決済方式を導入すべきだとの声が上がっている。
一部のアナリストの間では、今年上半期にも当日決済方式が導入され、流動性の高い大型株について当日決済の売買が認められるのではないかとの見方が出ていた。
ただ、人民銀行は、当日決済方式を導入すれば、市場操作のリスクが高まると指摘。決済が複雑になるほか、ボラティリティーが高まる恐れがあるとの認識を示した。 株式市場は、証券監督管理委員会(CSRC)が監督しており、人民銀行に直接の監督権限はないが、人民銀行には金融全体の安定を維持する責任がある。