前場の東京株式市場で日経平均は大幅反落した。前日の米株安を受けて、東京市場でもほぼ全面安の展開となった。日経平均は2月5日以来約2カ月ぶりに1万4000円を割り込み、年初来安値を更新した。
一方で、市場では国内投資家による押し目買いが株価を下支えしたとの見方もあり、前引けにかけて徐々に下げ幅を縮小した。
日経平均は寄り付き後、415円安の1万3885円11銭を付け、年初来安値を更新した。東京市場では前日の米株安を受け、朝方から幅広い銘柄で売りが先行。10日に2014年8月期の連結当期純利益見通しを下方修正したファーストリテイリング<9983.T>は一時8%安となり、1銘柄だけで日経平均株価を113円押し下げた。
ある大手証券トレーダーは、「個人投資家の追い証(追加保証金の差し入れ義務)発生懸念をあおるため、海外勢が序盤であえて売り、その後買い戻すという典型的なパターン」と指摘。また、1万4000円割れの水準はボックス圏の下限だったため、「国内投資家による押し目買いが入っている」とも述べた。日経平均は330円安で午前の取引を終えた。
日銀の追加緩和期待が「失われた」との声も出ている。カブドットコム証券・マーケットアナリストの山田勉氏は、「市場で高まっていた日銀の追加緩和期待は、黒田総裁の9日の会見後、後退というよりも喪失してしまったと言えるだろう。特に海外投資家が、いったん追加緩和期待が失われたことを嫌気し、日経平均の下げにつながっている」と話している。
個別銘柄ではソフトバンク<9984.T>が大幅安。成長期待の高い米モメンタム株の下落が波及した。同社が大株主となっている中国電子商取引会社アリババの米国株市場への新規上場を控え、含み益への影響が懸念された。半面、チヨダ<8185.T>は続伸し、4月3日の年初来高値2329円を更新。10日に発表した中期経営計画での成長見通しと自社株買いが材料視された。
東証1部の騰落数は、値上がり269銘柄に対し、値下がりが1432銘柄、変わらずが102銘柄だった。