<ユーロ圏債券> イタリア、ギリシャ国債などの周辺国債券の利回りが急低下した。

欧州中央銀行(ECB)は同日の理事会ですべての政策金利の据え置きを決定した。ドラギ総裁は理事会後の会見で「低インフレが過度に長期化するリスクに効果的に対処するため、理事会は責務の範囲内で非標準的措置も活用する決意で一致している」とし、量的緩和(QE)を含む追加緩和の選択肢があることを強調した。

市場は当初、この発言にさほど大きく反応せず、非標準的措置の実施をめぐり懐疑的な見方が根強いことを示唆した。

ただ、ドラギ総裁が、ユーロ高によってインフレがさらに目標から遠ざかる可能性があるとして懸念を表明した後、ユーロは安定化したほか、イタリア10年債利回りは8年半ぶりの低水準となる3.25%をつけた。

INGのアレサンドロ・ジアンサンティ氏は「今回初めてQEに関する率直な議論が行われた」と指摘。「QEによって、周辺国の中で最大の債券市場を抱えるイタリアとスペインが恩恵を受けることになる」と述べた。

ドラギ総裁の発言を受け、金融市場は全般的に落ち着きを見せたものの、過去のECB理事会後にみられた動きに比べると限定的となった。

ドラギ総裁が、ユーロ高が輸出や景気を圧迫する恐れがあり、ECBがユーロの一段高を望んでいないことをあらためて強調したことについて、DZ銀の金利ストラテジスト、クリスチャン・レンク氏は「市場ではすでに大方織り込まれていた見方」とし、「ECBはマネーを注入せずに市場を感化しようとしている。小手先の対応に過ぎない」と述べた。

ギリシャ国債はアウトパフォームした。利回りはほぼすべての期間で4年ぶりの低水準をつけた。同国は2年前に行われた債務再編以来初めてとなる国債発行を計画している。

独連邦10年債利回りは1ベーシスポイント(bp)低下し、1.61%となった。ドラギ総裁の会見前は1.63%で推移していた。