<為替> ドルが対ユーロで小幅安となる一方、対円では上昇した。中国の李克強首相発言を受け、投資家の間でリスク選好が高まった。

28日付新華社によると、李首相は、経済の急激な変化に対応するために必要な政策手段を持っているとした上で、支援策を段階的に講じると表明した。

ユーロ/ドルは0.04%高の1.3746ドル。一時3週間ぶりの安値をつけた。3月のドイツ消費者物価指数(CPI)は欧州連合(EU)基準ベースで前月比0.3%上昇、前年比0.9%上昇となり、上昇率はともに市場予想を下回った。市場では欧州中央銀行(ECB)による利下げ観測が依然根強い。

ドル/円は0.71%高の102.90円。

主要6通貨に対するICEフューチャーズUSドル指数<.DXY>は0.13%高の80.217。

<株式>  ロンドン株式市場は反発して引けた。中国の景気支援策への期待から鉱山株が買われ、保険株の下げを相殺した。

FT100種総合株価指数<.FTSE>は、週足では0.9%上昇した。

FTSE350鉱山株指数<.FTNMX1770>は1%高。中国の李克強首相が景気下支えに向けて支援策を講じるとともに、インフラの整備を加速させる方針を表明したことが追い風となった。

医療機器大手スミス・アンド・ネフュー(S&N)<SN.L>は投資判断引き上げを好感し、2.4%値を上げた。

半面、政府の年金改革を嫌気しこのところ軟調だった保険株は、この日も下落。年金関連商品の販売にからみ、過去に商品を購入した顧客が新規顧客と比べて公平に扱われていたかどうか当局が調査する方針と伝わったことが圧迫した。

レゾリューション <RSL.L>は7.1%急落。リーガル・アンド・ゼネラル(L&G)<LGEN.L>は3.5%値を下げた。

欧州株式市場は続伸し、とりわけイタリアの主要株価FTSE・MIB指数は3年ぶりの高値に迫った。欧州中央銀行(ECB)が来週の理事会で追加緩和を実施するとの期待が市場心理を押し上げた。

FTSEユーロファースト300種指数<.FTEU3>は10.07ポイント(0.76%)高の1332.29。

DJユーロSTOXX50種指数<.STOXX50E>は38.68ポイント(1.23%)高の3172.43。

中国が新たに景気刺激策を導入するとの期待を追い風に、金属・高山株が上昇。アングロ・アメリカン<AAL.L>は1.5%高、グレンコア・エクストラータ<GLEN.L>は2%高。

伊FTSE・MIB指数<.FTMIB>は1.5%上昇し、2011年5月以来の高値をつけた。

伊銀バンコ・ポポラーレ<BAPO.MI>は7%高と、FTSE・MIB指数押し上げに寄与した。同行は前日、計画している増資に絡む新株発行価格を発表したばかり。

テレコム・イタリア<TLIT.MI>も1.5%上昇した。

同日発表されたスペインとドイツの消費者物価指数(CPI)が低下し、デフレ懸念が高まったことで、ECBに対する追加緩和圧力が強まる可能性がある。

<ユーロ圏債券> 国債利回りが総じて低下した。スペイン、ドイツの消費者物価指数(CPI)統計を受けて、欧州中央銀行(ECB)による追加緩和観測が高まった。

スペインの3月のCPIは、前年比0.2%低下と、約4年半ぶりの大幅な低下を記録した。またドイツの欧州連合(EU)基準の消費者物価指数(HICP)は前年比0.9%上昇と、市場予想の1.0%を下回った。

来週31日発表のユーロ圏全体のインフレ率が市場予想の0.6%を下回るのではとの見方も出ている。

これを受けて、ECBが来週開く理事会で、少なくとも追加緩和への手掛かりを一段と明確に示すとの観測が高まった。

一部ではECBが最終的には量的緩和策に踏み込むとの見方も浮上しており、ユーロ圏の高格付け国債利回りは極めて低い水準で推移した。

イタリア10年債利回りは一時、8年半ぶりの低水準となる3.261%をつけた。

同日実施した国債入札では、10年債利回りが2005年10月以来の低水準をつけた。また今回の入札で、想定レンジの上限となる100億ユーロを調達した。

スペイン10年債利回りも8年ぶりの水準となる3.2%に低下した。ロイター・データによると、アイルランド10年債利回りは2.974%と、過去最低を記録した。

またポルトガル10年債利回りは、およそ4年ぶりに4%の節目を下回った。