<株式> ロンドン株式市場は反発して終了した。政府が建設事業促進に向けたプロジェクトにより多くの資金を投入するとの方針を示したことで、特に住宅建設株に買いが入った。
ただ、欧州連合(EU)と米国が相次いで対ロシア制裁を発表したことで、上昇は限定された。
FT100種総合株価指数<.FTSE>は40.46ポイント(0.62%)高の6568.35で取引を終えた。
住宅建設大手のパーシモン<PSN.L>は3.7%高。この他、バラット・ディベロップメンツ<BDEV.L>、テイラー・ウィンペイ<TW.L>、クレスト・ニコルソン<CRST.L> は2─4%上昇した。
欧州株式市場は上昇して引けた。堅調な米製造業指標が追い風となったほか、16日にロシア編入を賛成多数で決定したウクライナ南部クリミア半島の住民投票で、衝突などの大きな混乱がなかった点も買い安心感を誘った。
米連邦準備理事会(FRB)が発表した2月の鉱工業生産指数は前月比0.6%上昇。とりわけ製造業は0.8%上昇と、昨年8月以来の大きな伸びを記録した。
クリミア半島の住民投票は比較的平穏に実施されたが、結果を受けて欧米はこの日、ロシア、およびウクライナの当局者に対し、資産凍結や渡航禁止などの制裁発動を決定した。市場では株高は長続きしないとの指摘も上がっている。
バークレイズの欧州株ストラテジスト、デニス・ジョセ氏は「制裁が実施されれば、原油価格の上昇を通じて欧州の消費者が打撃を受け、企業の利益を下押しする」との見方を示した。
FTSEユーロファースト300種指数<.FTEU3>終値は13.13ポイント(1.02%)高の1297.45。
DJユーロSTOXX50種指数<.STOXX50E>は44.55ポイント(1.48%)高の3049.19。
この日は鉱山、工業株の上げが目立った。
クレディ・スイスのアナリストのコメントが追い風となり、オーストリアの鉄鋼メーカー、フェストアルピーネ<VOES.VI>は5.6%急伸。
ドイツ総合電機大手シーメンス<SIEGn.DE>は3.4%高。JPモルガンとバンク・オブ・アメリカ・メリルリンチがともに同社の投資判断を引き上げたことが好感された。
自社株買いの拡大を示唆した独半導体メーカー、インフィニオン・テクノロジーズ<IFXGn.DE>は3.4%値を上げた。
企業向けソフトウエア大手の独SAP<SAPG.DE>は2.3%高。市場関係者によると、シティグループはSAPの国内事業が持ち直すとの見方から、投資判断を「ニュートラル」から「バイ」に引き上げた。
<ユーロ圏債券> ポルトガル国債の利回りが大幅低下した。同国は翌18日に2015年10月償還債を買い戻す計画で、国際支援が期限を迎える5月以降もポルトガルが自力で財政運営を行えるとの信頼感が高まっていることが追い風となっている。
ポルトガル政府は前月にも、2014年10月償還債、2015年10月償還債を13億2000万ユーロ買い戻しており、今年に入り2度目の国債買い戻しとなる。
ポルトガル2年債利回りは17ベーシスポイント(bp)低下の1.54%。10年債利回りも12bp低下の4.52%と、およそ4年ぶり低水準に迫った。
スペイン、アイルランド、イタリア国債の利回りも軒並み2─3bp低下した。
この日発表された2月のユーロ圏消費者物価指数(CPI)改定値が前年比0.7%上昇と、速報値の0.8%上昇から下振れしたことが背景。ユーロ圏のインフレ率は欧州中央銀行(ECB)が目標とする2%弱の水準を大きく下回っている。
独10年債利回りは2bp上昇の1.57%。ウクライナ南部クリミア半島で16日実施された住民投票は、衝突などの大きな混乱もなくロシア編入を賛成多数で承認した。これを受けて安全資産とされる独連邦債の投資妙味が薄れた。