<為替> 円がドルやユーロに対して上昇した。ウクライナをめぐる緊張や中国経済への不安が高まっていることから、円を買う動きが強まった。ウクライナ南部のクリミア半島で軍事衝突が発生することへの警戒感や、初の社債の債務不履行(デフォルト)が起きた中国の景気をめぐる懸念を背景に、円は前日から上昇している。

ドル/円は一時101.22円まで下落した。円強気筋は3日につけた101.20円を目標としているとの指摘が聞かれた。神経質なムードを反映し、ドル/円のインプライドボラティリティは8.925%へ上昇した。

ロシアの通貨ルーブルは1ドル=36.7080ルーブルまで下落し過去最安値をつけた。終盤は同36.5925ルーブル。米連邦準備理事会(FRB)が発表した統計によると、外国の中銀による財務省証券保有高は過去最大となる1045億3500万ドル減となったが、市場ではロシアが西側の制裁を見越してドルの保有を減らしているとの見方が出ている。

<債券> 国債価格がほぼ横ばい。クリミア自治共和国で16日に予定されるロシアへの編入の是非を問う住民投票実施を控え、緊張が高まるなか、一連の経済指標が国債相場を支えた。ケリー米国務長官はロシアのラブロフ外相とロンドンで6時間にわたり協議を行った。ケリー長官は、ラブロフ外相と「直接かつ率直に」話し合ったとした上で、クリミアでの住民投票について、米国、国際社会ともその結果を認めることはないと強調した。

こうしたなか、この日発表された経済指標では、2月の卸売物価指数(PPI)が総合で前月比0.1%、食品・エネルギーなどを除くコアで同0.2%、それぞれ低下したほか、3月のミシガン大消費者信頼感指数(速報値)は79.9と昨年11月以来の水準に悪化した。

市場では来週18─19日に開かれる連邦公開市場委員会(FOMC)が注目されているが、債券買い入れの縮小ペースは維持されると予想されている。

<株式> 続落。クリミア自治共和国で16日に予定されるロシアへの編入の是非を問う住民投票実施を控え、緊張が高まるなか、売りが優勢になった。週間ではS&P500が2%下落、今年1月下旬以降で最も大幅な値下がりとなった。ダウ平均は2.4%、ナスダックは2.1%、それぞれ下げた。

ロシアはこの日、新たな軍部隊をクリミア半島に派遣するなど、住民投票を前に緊張が激化。株式投資家の不安心理の度合いを示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(VIX指数)<.VIX>は9.9%上昇し17.82をつけた。

個別銘柄では、食品のゼネラル・ミルズ<GIS.N>が2.4%安。厳しい競争を背景に四半期業績がアナリスト予想を下回るとの見通しを示した。ティーン向けアパレル小売りのエアロポステール<ARO.N>は20.1%急落。四半期決算は5期連続の赤字となった。一方、市場予想を上回る決算を発表したタイヤメーカーのクーパー・タイヤ&ラバー<CTB.N>は6.7%値上がりした。

<金先物> ウクライナ情勢の緊迫化を背景に安全資産としての買いを集め、5日続伸した。中心限月4月物は前日比6.60ドル(0.48%)高の1オンス=1379.00ドルと、中心限月の終値として2013年9月9日(1386.70ドル)以来約半年ぶりの高値を付けた。同限月は今週、地政学的リスクの高まりを受け、40.80ドル(3.05%)上昇した。

ロシアが軍事的に掌握したウクライナ南部クリミア自治共和国のロシア編入の是非を問う住民投票を控え、投資家のリスク逃避姿勢が強まった。ケリー米国務長官とロシアのラブロフ外相がこの日会談したが状況打開に至らず、ロシアの軍事介入を批判する米欧による制裁発動の可能性が浮上。このため、確実な資産確保手段として金塊が人気を集めた。

<米原油先物> エネルギー需要拡大への期待やウクライナをめぐる地政学的リスクから買われ、続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月4月物は前日終値比0.69ドル(0.7%)高の1バレル=98.89ドルで終了。5月物は0.62ドル高の98.56ドルで取引を終えた。国際エネルギー機関(IEA)は14日に発表した3月の石油市場月報で、2014年の日量の石油需要を前年比135万バレル増の日量9268万バレルと、前月予想から上方修正した。週央に石油輸出国機構(OPEC)が14年の世界原油需要見通しを上方修正したこともあり、エネルギー需要増加観測から、原油が買われた。