<ユーロ圏債券> ウクライナ情勢の緊迫化や中国経済成長への懸念から、低リスクとされる国の債券に需要が集まり、ドイツ10年債の利回りが一時、昨年7月以来8カ月ぶりの低水準をつけた。

ドイツ10年債利回りは一時、1.50%をわずかに上回る水準にまで低下した。直近では横ばいの1.55%となったが、1週間の低下幅は昨年9月以来の大きさだった。

ロシア国防省は13日、ウクライナとの国境付近で新たな軍事演習を始めたと明らかにした。

一方、ドイツのメルケル首相は同日、ウクライナ問題でロシアが軌道修正しなければ、「甚大な」政治的・経済的損害を被る恐れがあると警告している。

ただ、ロシアのラブロフ外相が14日、ロシアはウクライナ南東部に侵攻する計画はないと言明、利回りは幾分上昇に転じた。オバマ米大統領は、外交的解決を依然として望む考えを示した。

また、1─2月の中国鉱工業生産が低い伸びにとどまったことも、ドイツ連邦債の追い風となった。

17日発表予定の2月ユーロ圏消費者物価指数(CPI)の改定値が下方修正され、欧州中央銀行(ECB)が年内に一段の金融緩和に踏み切る可能性があるとの見方も再び広がった。

ドラギ総裁は13日、ECBにデフレ対策の用意があると表明したことなども、ドイツ連邦債を支援した。

ギリシャ10年債利回りが6ベーシスポイント(bp)上昇して7.33%、30年債の利回りは5bp上がって7.08%となった。

10年債利回りが、30年債など償還期間の長い債券利回りをさらに上回った。

国際支援機関によるギリシャ向けの次回融資をめぐる協議がずれ込み、投資家の間で懸念が再燃した。

イタリアやスペインの10年債利回りは、8年ぶり低水準近辺の3.41%、3.34%にそれぞれ下がった。