「自信を持つということ-これは遠心力といってよいでしょう。外に向かって、強力にのびていこうとする力です。そして、自分の才能についての疑い(劣等感を持つ)、ほんとうに自分にまんが家としての能力があるかどうか悩むこと-これは求心力なのです。うちに向かってちぢこまろうとする力です。 このふたつの力というのは矛盾するわけで、なかなか一人の人間の中に共存するのがむずかしいと思うのですが、ぼくの投稿時代をふりかえってみると、切実な問題でした。(略)とにかく不安定で、自信と劣等感の間をゆれ動いていたのです。(略)結果として考えてみると、ぼくにとっては、このことがプラスになってくれたようです」