昔、おいらがまだ浅草の演芸場に出ている頃、面倒見のいい漫才師の兄さんがいた。「たけちゃん、うちに来なよ」って晩飯にも呼んでくれた。よくできた奥さんがいて、子供がいて、実にいい家庭だった。 だけど、この人は芸人としては絶対に目が出ないと思ったね。案の定、最後まで売れなかった。要するに舞台を選ぶか、家庭を選ぶかってことだからね。

出典 おまえの不幸には、訳がある!―たけしの上級賢者学講座