ロイター通信などによると、差し戻し審が始まった後、ノックス被告は10月、イタリア国営放送のトーク番組のインタビューに応じ、心境を語っている。

 「私は検察側が描くファム・ファタル(男を破滅させる魔性の女)ではありません。私を悪人に仕立て、悪人の仮面をかぶせたが、そんな人は存在しません」

 「セックス異常者」などの表現だけでなく、検察側は裁判を通じ、ノックス被告のことを「ファム・ファタル」などとあしざまに言った。また、メディアは「Foxy Knox(悪賢いノックス)」とも表現した。

 これはノックス被告が幼少のころ、サッカーに興じ、高い技術で男の子たちを翻弄したためにつけられた異名だ。男たちを手玉に取り、薬物に溺れ、ルームメートにとどめを刺した危険な女…。ノックス被告はそれらが検察やメディアによって“創られた仮面”だと言いたかったのだ。