同プロジェクトの構想は、実は100年前にさかのぼる。

リューカンはもともと、104メートルの滝の落差を利用したノルスク・ハイドロ社の肥料工場を中心に発展してきた。創業者のサム・エイデ氏は、従業員の生産性向上のため、鏡で町を照らす構想を描いていたという。

当時は技術的な制約から鏡の設置は実現できなかったものの、1928年に北欧初のケーブルカーが建設され、住民は山頂に登って日光浴ができるようになった。

2005年になって地元のアーティストが鏡のアイデアを復活させ、主にノルスク・ハイドロなどから実現のための資金を調達した。

山の中の建設地には重機などを運び込める手段もなかったことから、100年前の技術を使って完成させた。鏡を動かすシステムの設置には、太陽熱発電を手がける独ソーラー・タワー・システムズが協力した。

リューカンは1965年の映画「テレマークの要塞」の舞台としても知られ、ユネスコの世界遺産の登録候補地もなっている。市観光局は、町を照らす巨大鏡を冬場の観光客の増加にもつなげたい考えだ。