ノルウェーの谷底の町を巨大鏡で照らせ

①100年前、人のために町を太陽で照らしたい。
②ケーブルカーで日光浴
③映画「テレマークの要塞」の舞台へ
④今こそ巨大ミラーで町を照らすんだ。

うっちんぐ さん

119 PV

8400万円のコンピューター制御巨大ミラー

山に囲まれて1年の半分は日が当たらなくなるノルウェー南部の町リューカンで、山頂に巨大な鏡を設置して太陽光を反射させ、市中心部の広場を照らすプロジェクトがこのほど完成した。

リューカンの町は首都オスロ南西部テレマーク地方の峡谷地帯にあり、2000メートル級の山々に囲まれているため9月から3月の間はほとんど日が当たらなくなる。

その状況が、今回のプロジェクトで一変した。山頂部に設置された鏡3枚は、高さ6メートル、反射面の合計は50平方メートル。コンピューター制御で太陽の動きに合わせて10秒ごとに角度を変え、市中心部の600平方メートルの範囲に太陽光を反射させる。総工費約85万ドル(約8400万円)をかけて完成させた。

俺たちの町に太陽の光を届けるんだ!

同プロジェクトの構想は、実は100年前にさかのぼる。

リューカンはもともと、104メートルの滝の落差を利用したノルスク・ハイドロ社の肥料工場を中心に発展してきた。創業者のサム・エイデ氏は、従業員の生産性向上のため、鏡で町を照らす構想を描いていたという。

当時は技術的な制約から鏡の設置は実現できなかったものの、1928年に北欧初のケーブルカーが建設され、住民は山頂に登って日光浴ができるようになった。

2005年になって地元のアーティストが鏡のアイデアを復活させ、主にノルスク・ハイドロなどから実現のための資金を調達した。

山の中の建設地には重機などを運び込める手段もなかったことから、100年前の技術を使って完成させた。鏡を動かすシステムの設置には、太陽熱発電を手がける独ソーラー・タワー・システムズが協力した。

リューカンは1965年の映画「テレマークの要塞」の舞台としても知られ、ユネスコの世界遺産の登録候補地もなっている。市観光局は、町を照らす巨大鏡を冬場の観光客の増加にもつなげたい考えだ。

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