午後3時のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点と同水準の98円前半。海外市場でドルショートが巻き戻された流れを引き継ぎ、底堅い展開となった。日経平均株価<.N225>が堅調に推移したことも、相場をサポートした。

ただ米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表前ということもあり、ポジション調整が中心で積極的な売買は手控えられた。

<ドルショートの巻き戻し>

午後3時までのドル/円は98.10─98.27円の狭いレンジでの取引となった。前日の海外市場では1週間ぶり高値となる98.28円まで上昇。FOMCの結果発表前に、米テーパリング(緩和縮小)の先送り観測で進めてきたドル売りをいったん巻き戻す動きが入った。

東京市場もこの流れを引き継ぎ、底堅い動きとなったが、ポジション調整にとどまり、目立ったフローは観測されなかった。

参加者からは「仮にファンダメンタルズ面でのドル買い材料が出てきたら、テクニカルを無視して上昇するだろうが、足元の動きはドルショートの巻き戻しだ」(外資系証券)と上値の重さを指摘する声が出ていた。

98円台後半には89日移動平均線があるほか、週足の一目均衡表の転換線や基準線も推移するなど、テクニカルポイントが並んでいる。

<FOMCはドル買い反応か>

米金融政策をめぐっては、テーパリング開始は来年3月にずれ込むとの見方が有力になっているが、市場では懐疑的な見方も少なくない。

ある大手邦銀関係者は「縮小議論をゼロに戻すという話になれば、ハトと受け止められ一気にドル売りが進むだろうが、この1カ月で本当にそこまで変わるのか」と指摘。「政府機関が閉鎖した影響を確認するために少し開始時期が遅れるという程度であれば、ニュートラルかもしくは今の金利の織り込み具合からするとややタカに見えるかもしれない」との見方を示した。

FOMC後の展開について、この関係者は「市場はテーパリングがなくなったかのような錯覚に陥っている面もあり、それがどれ程度揺り戻されるか。イニシャルアクションとしてはドル買いになるような材料が多そうな気がするが、実際に指標が悪くなってきているのは事実なので、景気認識で慎重な見方が増えてくるようだと、ハトと受け止められてドル売りの可能性もゼロではない」と話していた。

みずほ銀行国際為替部マーケット・エコノミスト、唐鎌大輔氏は「この流れだと『事実で買い戻し』になる可能性がある」と予想。その上で「ドル99円台に乗せられたら年内100円もあるかもれないが、100円、101円あたりが限界だろう。テーパリングは来年3月まで待たないとないとみられており、本当にドルの騰勢が強まるのは来春以降になるのではないか」との見方を示した。