女性の体内時計を止める!最後の手段「卵子凍結」―体験談とそのリスク
「卵子凍結なんてハリウッドの話」と思っていませんか?先月、日本生殖医学会によって公表された「健康な独身女性の卵子凍結に関する指針案」。海外では未婚女性の「将来困ったときのための口座預金」として卵子凍結が利用されています。体験談を含め、「卵子凍結」のイロハを紹介しましょう。
女性が婚活に走ってまで、結婚を焦る最大の理由は出産のリミット。年をとれば、卵細胞の質も悪くなり、妊娠しにくくなるのは周知の事実。
体内時計のカウントダウンは20代半ばからすでに始まっており、30代半ばになると自然妊娠する確率は18パーセント、40代になるとわずか8パーセント。「40歳以上の卵細胞の95パーセントが生存力のある胎児を作りだす可能性はほぼゼロ」というデータもあります。
独女性誌『Cosmopolitan』の10月号で女性の体内時計をフリーズする方法として、「ソーシャル・フリージング」と称する「卵子凍結」の体験談を紹介しています。
「ソーシャル・フリージング」と呼ぶのは、がんや白血病といった病気や、卵巣や子宮に疾患がある場合に許容される医学的な理由の「卵子凍結」と、健康な独身女性が希望する「卵子凍結」を区別するためだとか。
卵子凍結の方法は、ホルモン剤を利用して多数作った卵細胞を成熟させ、10?20個取りだして冷凍保存します。冷凍に耐えられる卵子の数は少なく、大抵は2回以上通う必要があります。野菜やお肉を新鮮なまま瞬時冷凍するように「卵子の瞬時冷凍保存」もあるというからオドロキ。ただし、この保存方法に関する統計や調査データはまだないとか。
実際に卵子凍結をした同誌の著者は、早朝から婦人科で列を作っている女性を見て「どうして誰も教えてくれなかったの?」とコッソリ卵子凍結をやっている同年代女性の多さにビックリ。 「将来、自然妊娠できなかったとき用の預金口座のようなもの」で心の中に安心感が芽生えたと告白しています。
リスクとして挙げられるのは、ホルモン治療に伴う吐き気や気分の浮き沈み、体重増加。また、凍結した卵子のうち、およそ10パーセントは解凍後に使用不可となる可能性が。その数は保存期間の長さにも左右されるといいます。
「出来婚もイマイチ」「出産はキャリアが一段落してから」「納得する結婚相手が見つかってから」と考える独身女性にとって、「卵子凍結」は体内時計を止められる最後の手段なのかも知れません。ウン十万するぜいたく品の代わりに、将来の安心を買うために「卵子凍結」に投資する女性がこれから日本でも増えるのではないでしょうか。
参考:Besser Spat als Nie.