889 :本当にあった怖い名無し:2008/06/22(日) 22:18:15 ID:YqcAHiai0
思考や感情は、もはや完全に麻痺していた。
僕は半ば機械的に、寝袋脇の拳銃を拾い撃鉄を起こすと、すぐさま人差し指に力を込めた。
ぱん、と乾いた音がした。ぱん、ぱん、ぱん、ぱん、ぱん。
リボルバー式の拳銃は、6発で空になった。
初めて扱った拳銃は、コンビニで買い物をするよりも手軽だったよ。
ドアに向かうと、鍵は既に開いていた。
何発目で寝袋が死んだのかは知りたくもなかった。
最後の部屋は何もない部屋だった。
思わず僕は「えっ」と声を洩らしたけど、ここは出口なのかもしれないと思うと少し安堵した。
やっと出られる。そう思ってね。
すると、再び頭の上から声が聞こえた
『最後の問い。
3人の人間とそれを除いた全世界の人間。そして、君。
殺すとしたら、何を選ぶ』
僕は何も考えることなく、黙って今来た道を指差した。
するとまた、頭の上から声がした。
『おめでとう。
君は矛盾なく道を選ぶことができた。
人生とは選択の連続であり、匿名の幸福の裏には匿名の不幸があり、匿名の生のために匿名の死がある。
ひとつの命は地球よりも重くない。
君はそれを証明した。
しかし、それは決して、命の重さを否定することではない。
最後に、ひとつひとつの命がどれだけ重いのかを感じてもらう。
出口は開いた。
おめでとう。
おめでとう』
891 :本当にあった怖い名無し:2008/06/22(日) 22:21:39 ID:YqcAHiai0
僕はぼうっとその声を聞いて、安心したような、虚脱したような感じを受けた。
とにかく全身から一気に力が抜けて、フラフラになりながら最後のドアを開けた。
光の降り注ぐ眩しい部屋、目がくらみながら進むと、足にコツンと何かが当たった。
三つの遺影があった。
父と、母と、弟の遺影が。
これで、おしまい」
彼の話が終わった時、僕らは唾も飲み込めないくらい緊張していた。
こいつのこの話は何なんだろう。
得も言われぬ迫力は何なんだろう。
そこにいる誰もが、ぬらりとした気味の悪い感覚に囚われた。
僕は、ビールをグっと飲み干すと、勢いをつけてこう言った。
「……んな気味の悪い話はやめろよ!楽しく嘘の話をしよーぜ!ほら、お前もやっぱり何か嘘ついてみろよ!」
そういうと彼は、口角を釣り上げただけの不気味な笑みを見せた。
その表情に、体の底から身震いするような恐怖を覚えた。
そして、口を開いた。
「もう、ついたよ」
「え?」
「・・・『ひとつ、作り話をするよ』」
900 :本当にあった怖い名無し:2008/06/23(月) 03:33:05 ID:xIu0Tj0aO
>>891
ようわからんかった。
最後のオチの真意は何なの?
901 :本当にあった怖い名無し:2008/06/23(月) 03:37:44 ID:VDyj58cu0
>>900
最初に言ったその一言が嘘だったわけ。
話自体は本当にあったことでしたーってオチ。