522 :3:2009/06/15(月) 02:33:50.33 ID:fkjTQUvs0
くすくす笑いをこらえながら、女性の言葉に従う子供達。
当然お菓子は現れない。
「じゃあ『指導者様』に変えてみたらどうかしら?」
子供達の机の上にお菓子を置いていく女性。
目を開けてお菓子を見つけ、喜ぶ子供達。
だが、一人反抗していた少年は、薄目を開けて全てを見ていた。
「お菓子を置いたのは、『指導者様』じゃなくて先生じゃないか!」
微笑む女性。
「そう、実際にお菓子を机の上に置いたのは先生です」
あっさりと認められ、きょとんとする子供。
女性は、少年を賢いと褒めながら言葉を続ける。
「いくら誰かに祈っても、本当は何も出て来ません。
もし、何かしてくれる人がいるとすれば、それは神様なんかじゃなくて、先生や他の人の力なの」
言葉に詰まる少年を、他の子供達も褒め始める。
525 :最後:2009/06/15(月) 02:34:48.41 ID:fkjTQUvs0
続けて教師は、新学期のクラス委員を誰にしようか話し始めると、子供達は少年がいいと口々に言い出す。
まんざらでもない様子の少年。
教師は、クラス委員の最初の仕事として、掛けられた額を外してしまおうと提案する。
ある少女が、「大切なものでは?」と言い出す。
「本当に大切なのは、中に書かれた言葉でしょう?
だったら、それはみんなの心の中に掛けておけばいいわよね」
子供達は納得し、額を外した少年はそれを窓から投げ捨てた。
地面で砕ける額を見て、歓喜する子供達。
子供達を見て微笑む女性の腕時計は、丁度23分を経過していた。
そして女性は、自分の服と同じ制服と新しい教科書を取り出す。
「古い教科書を破った人から、取りに来て下さい」
もう、疑問を唱える子供はいなかった。
526 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/15(月) 02:35:28.90 ID:hnJwK3yu0
これが23分間の奇跡です。
※23分間の奇跡:ジェームズ・クラベルの小説。
戦争に敗れて占領された国の学校の教室に、新任の教師がやってくる。
初めは疑問と不審を抱いていた生徒たちが、わずか23分間で洗脳されてしまう過程が描かれている。