鍼灸師が教える。1分で目元がスッキリする方法

目を酷使すると、目がしょぼしょぼする、ディスプレーの文字が見づらい、人から「目に力が入っていない」、「とろんとしている」などと指摘されることがあります。

そこで、疲れ目をリフレッシュして目元をスッキリさせる即効法を、健康と美容のためのツボ療法を提唱する鍼灸(しんきゅう)師の高田香菜子先生に教えていただきました。

■目の周囲や眼球も運動が必要

高田先生はまず、目の疲れの原因についてこう説明します。

「一つの場所をじっと長時間見つめたとき、光を発するパソコン、テレビ、スマホなどのディスプレーを長時間眺めたとき、眼鏡やコンタクトレンズが合っていないときなど、目がピントを合わせようとして目の周囲の筋肉を駆使するため、筋肉疲労が起こり、血流が滞るのです」

自分でケアするには、

「20分に一度はディスプレーから目を離すことが重要ですが、つい画面に集中してしまって目がしょぼしょぼしだしたら、すぐに今から紹介する動作を行ってください」(高田先生)

では早速、具体的な方法を教えていただきましょう。

1.ツボを意識して目元マッサージ

目の周囲には、目の疲れを改善するツボがたくさんあります。例えば、眉頭にはツボ「攅竹(さんちく)」、眉の中央には「魚腰(ぎょよう)」、眉尻には「し竹空(ちくう)」、目頭のやや上には「晴明(せいめい)」、目尻には「瞳子(どうし)りょう」、瞳の真下の骨のふちには「承泣(しょうきゅう)」などが有名ですが、それらのツボを意識しつつ、指の腹を使ってゆっくり目元マッサージを行いましょう。

鼻をすする、目を見開く、ウインクをするなどの動作で使う筋肉は、目の周囲の表情筋です。目元マッサージをするとこれらの緊張がほぐれ、血流が促されます。会議中などで眼鏡をはずしにくいときは、「目をギュッとつむってパッと開く」を2~3回繰り返すだけでもいいでしょう。

<目元マッサージの方法>
(1)両方の眉頭に薬指、眉の中央に中指、眉尻に人さし指をそれぞれ置いて、ゆっくりと眉を上下に5回、動かします。

(2)両方の目尻を人さし指で外側へ動かし、戻します。5回。

(3)瞳の真下の骨のふちを人さし指で軽く押し、下側に数センチ動かして戻します。5回。

<注意>
・コンタクトレンズは外して行いましょう。装着したままだと、外れることがあります。
・眼球を押さないようにしましょう。
・力を入れ過ぎると眼球を圧迫するので、ゆるくやさしく行ってください。
・つめが長い人は、目や皮ふを傷付けないように行いましょう。

2.眼球ストレッチ

目が疲れると目頭を押さえるしぐさをする人がいますが、それは、目頭に向かう筋肉を使うことが多いからです。目の内側、目頭周辺の筋肉は特に疲れやすいため、眼球を外側へ動かす運動を行います。

<眼球ストレッチの方法>
目をつむる、開くはどちらでもかまいません。目が回る、めまいがする人は目をつむって行いましょう。

(1)両方の目を同時に左に寄せて5~10秒。同様に、右に寄せて5~10秒。ともに、最大限寄せられるところまで寄せます。どちらか一方の目に違和感があれば、その方向にだけもう一度3~5秒ほど寄せます。

(2)両方の目を同時に、ゆっくり右回りに1周と左回りに1周を2~3回。

3.こめかみ周囲を刺激

目の周囲がむくんでいる、目が小さくなったと感じる、頭痛をともなう、目の疲れがひどいと感じるときは、左右のこめかみ付近の、頭部の横側の筋肉である側頭筋付近に圧を加えます。目から上の頭部の血流を促し、滞った筋肉の疲れをほぐします。

<こめかみ周囲の刺激の方法>

両手の親指の付け根のふくらみ(母指球)でこめかみあたりを押さえ、頭頂近くで左右の指がやや触れ合うようにして頭をはさみます。「母指球にゆっくり力を入れて抜く」を3~5回ほど繰り返します。

4.眉頭プッシュ

最後に、両方の眉頭を同時に、親指で一押し5~10秒ほど刺激を加えます。

高田先生は、こうアドバイスを加えます。
「目が疲れたなと思ったときにはもう、目の周囲の筋肉はかなり疲労しています。パソコンやスマホを操作するときは、あらかじめ、30分に一度はこれらの動きをする、全部できなくてもどれか一つだけでもすると自分でルールを決めて実践するようにしましょう」

眼鏡を外してこれら一連の動作をすること約1分。まず視界が明るくなったように感じ、画面や本の文字が鮮明に見えるようになります。目も運動が必要なのだと実感しました。鏡で自分の目を見てむくんでいると感じたら、さっと実践してみてください。