前場の東京株式市場で日経平均は3日続伸した。米財政協議進展への期待感から前日の米ダウ<.DJI>が上昇したうえ、外為市場で1ドル97円台半ばへと円安が進んだことが手掛かりとなり、日経平均は一時131円高となった。

8月機械受注の上振れも支援材料になったいう。一方、商いは引き続き低水準で新規資金の流入は限定されており、直近で下げた銘柄への買い戻しに過ぎないとの見方が出ている。

オバマ米大統領が9日、難航している財政協議の決着を目指し、下院議員との直接協議を通じた説得に着手したことなどを受け、株式市場は事態打開への期待感を織り込み始めている。為替に連動する形で売られていたトヨタ自動車<7203.T>など主力輸出株が、ドル/円の戻りとともに買い戻されたほか、医薬品や食料品、小売りなど内需ディフェンシブ系の銘柄が堅調に推移。日経平均は取引時間中で10月4日以来、4営業日ぶりに1万4100円台を回復した。

内閣府が午前8時50分に発表した8月機械受注の上振れも株価を支援したという。設備投資の先行指標である船舶・電力を除いた民需の受注額(季節調整値)は、前月比5.4%増となり、ロイターの事前予測調査(同2.0%増)を上回った。「回復感の強さを示す内容となりセンチメントが改善している」(大手証券)という。

ただ米政府のデフォルト(債務不履行)回避への期限が迫るなか、財政協議をめぐる不透明感は払しょくされず、投資家は半身の構えを崩していない。東証1部の売買代金は前場で8661億円と低水準にとどまった。「目先的な底打ちを確認した格好だが、直近で売られた銘柄を中心とした買い戻しが主体で、米債務問題が解決するまでは上値は重い」(かざか証券・市場調査部長の田部井美彦氏)との声が出ていた。

個別銘柄では、東京個別指導学院<4745.T>が大幅続伸。9日、新規入会者数の増加や好調な夏期講習会などを受けて、2014年2月期業績予想の上方修正を発表しており、材料視された。

半面、ローム<6963.T>が反落。9日、2013年9月中間期の連結営業利益予想などを上方修正したが、月次売上状況などから上方修正は織り込み済みとなっており、短期的な材料出尽くし感が出たとみられている。

東証1部の騰落数は、値上がり1090銘柄に対し、値下がりが522銘柄、変わらずが139銘柄だった。