正午のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点に比べ、ドル高/円安の97円前半。96円台では輸入業者の買いが流入したほか、オプション関連の買い需要もドルの下値を支えた。前日比マイナスで始まった日経平均<.N225>がプラス圏に転じたこともドル/円、クロス円のサポートとなった。
朝方の取引で、オバマ大統領が次期連邦準備理事会(FRB)議長にイエレン副議長を指名する準備を進めており9日にも発表すると報じられると、ドルは若干(10銭程度)下落した。しかし、その後は仲値公示をかけて輸入企業によるドルの手当て買いが流入したことをきっかけに、ドルは97円台に乗せた。短期筋によるフォロースルーの買いも手伝って一時97.34円付近まで上昇した。
市場では、「96円台、97円台は実需の買いが厚い」(投資家)との指摘が出ていた。ただ「(ドルの)戻りは次第に鈍くなっている。実需の買いが短期筋の売りを辛うじてこなしているが、こなしきれない分は当然売り圧力として働く」(同)という。
この日の米国時間には、債券買入れの縮小見送りを決断した9月17―18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録の発表が予定されており、市場はこれに注目している。
<米短期金利>
米債務の短期的な支払遅延や利払い停止のリスクがささやかれるなか、米財務省証券市場では、1カ月TB利回りが、米債務の法定上限を巡る協議の先行きを予想する指標の役割を果たしている。
同利回りは8日0.3550%まで上昇し、2008年11月以来約5年ぶりの高水準に達した。現在は0.2700/0.2500%の気配で前日から顕著に低下したものの、依然、3カ月TB利回りの気配値(0.0550/0.0450%)や、6カ月TB利回りの気配値(0.0850/0.0750%)を大幅に上回っている。
米TB利回り上昇の背景として、米マネー・マーケット・ファンド(MMF)が資金を引き揚げているとの指摘も出ている。
JPモルガンによると、総額で2兆7000億ドルの規模を有する米MMF業界は、8月末時点でTBを約4770億ドル保有しており、うち1000億ドル程度が10月半ばから、11月半ばに償還を迎えるという。
他方、TB利回りの上昇は、ドルLIBORや為替フォワード市場でのドル調達コストを押し上げ、短期の借入依存度が高いヘッジファンド等の短期筋による他の金融証券市場でのデレバレッジを促している。
日銀は9月に開催された金融政策決定会合の議事要旨を公表した
同議事要旨によると、何人かの政策委員が、今回の景気回復が個人消費主導で非製造業中心であるとの認識を示した。また、複数の委員が国債について、利回り以外に市場流動性のさまざまな指標を注視する必要があるとの見解を明らかにした。さらにある委員は、株高による資産効果が最近低下しており、景気回復の持続性について注視が必要だと述べた。為替市場の反応は限定的だった。