前場の東京株式市場で日経平均は続伸した。米財務協議の難航を受けて前日の米国株が大幅続落したうえ、外為市場では1ドル96円後半と円高水準で推移していることを背景に序盤は売りが先行。日経平均は一時142円安となった。
ただ主力株の一角に押し目買いが広がると指数はプラス圏に浮上。イエレン副議長の次期米連邦準備理事会(FRB)議長指名などがリスク回避ムードの後退につながり、ドル高/円安進行とともに日本株の押し上げにつながったという。
朝方には銀行・証券や大型自動車株への外国人投資家による売りが観測され、日経平均は1万3700円台半ばまで値を切り下げた。難航する米財政協議に進展の兆しがみられないなか、投資家の不安心理を示すCBOEボラティリティ指数(VIX指数)<.VIX>が節目の20を超え米国で不安心理が高まっていることも重しになったという。一方、「米財政問題で17日までに何らかの合意が図られる可能性も高くポジションを一方向には傾けにくい」(国内証券)として、売り急ぐ向きも限られた。
売り一巡後は値ごろ感から押し目買いが広がった。トヨタ自動車<7203.T>や三井住友フィナンシャルグループ<8316.T>、野村ホールディングス<8604.T>など主力株の一角がプラス圏に転じると、株価指数も上げに転じた。イエレン氏の米FRB議長指名も株価の支援材料になったという。岡三証券・日本株式戦略グループ長の石黒英之氏は「ハト派のイエレン氏の次期FRB議長就任はドル安/円高要因だが、外為市場では円買いポジションが巻き戻されており、いったんはリスク回避ムードが後退している」と述べた。
個別銘柄では、古河電気工業<5801.T>が堅調。「ヒッグス粒子」の存在確認に使用された巨大加速器に日本企業の最新技術が使われているとされ、加速器の心臓部である超電導線材を開発した同社に注目が集まった。またヒッグス粒子の検出に用いられるセンサーを開発した浜松ホトニクス<6965.T>も反発した。
半面、みずほフィナンシャルグループ<8411.T>は売り先行。融資問題の深刻化が警戒された。
東証1部の騰落数は、値上がり929銘柄に対し、値下がりが675銘柄、変わらずが148銘柄だった。