8日の米国株式市場は大幅続落。難航する米財政協議に進展の兆しが見られないなか、年初来の上昇率が高い銘柄を売って利益を確定する動きが広がった。

ダウ工業株30種<.DJI>は159.71ドル(1.07%)安の1万4776.53ドル。

S&P総合500種<.SPX>は20.67ポイント(1.23%)安の1655.45。

ナスダック総合指数<.IXIC>は75.54ポイント(2.00%)安の3694.83。

個別銘柄では、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)のフェイスブック<FB.O>が6.7%下げ、ナスダック100種指数の構成銘柄の中で下落率の大きさが際立っていた。ビジネス向けSNSのリンクトイン<LNKD.N>は6.1%安。オンライン動画配信のネットフリックス<NFLX.O>は5%値下がりした。

ネットフリックスはS&P総合500種の構成銘柄の中で年初来の上昇率が最も大きく、フェイスブックもナスダック100種採用銘柄の中で最も値上がりした銘柄の1つだった。

シェーファーズ・インベストメント・リサーチのシニア・テクニカル・ストラテジスト、ライアン・デトリック氏は「政局の先行き不透明感が取引を支配する中で、きょうははこれまで勢いのあった銘柄がついに大きな打撃を受けた」と指摘。「最終的にはより安全な優良銘柄にシフトする動きが見られることになるのか。ワシントンでの協議難航が続けば、そうした展開になる可能性がある」と述べた。

オバマ大統領はこの日、政府機関の業務を再開し、無条件で債務上限を引き上げた場合に限り、財政問題について交渉する用意があると述べ、共和党への圧力を強めた。

一方で国際通貨基金(IMF)の首席エコノミスト、オリビエ・ブランシャール氏は、米議会が債務上限を引き上げなければ、国内経済が大きく落ち込むばかりでなく、世界経済にも影響が及ぶと警告。ただ、こうした事態は起こりそうにないとの見方も示した。

投資家の不安心理を示すCBOEボラティリティ指数(VIX指数)<.VIX>は5%近く上昇し、6月20日以来の高水準となった。

ニューヨーク証券取引所とナスダックともに、値下がりした銘柄数が上昇銘柄の4倍を超えた。

医薬品卸売りのマッケソン<MCK.N>は3.2%高。ダウ・ジョーンズ・ニューズワイヤーは、マッケソンが欧州の同業者セレシオ<CLSGn.DE>の買収に向けて協議を進めていると報じた。

事務機器のゼロックス<XRX.N>は2.5%安。2010年に買収した情報技術(IT)アウトソーシング会社アフィリエーテッド・コンピューター・サービシズが会計処理について米証券取引委員会(SEC)から調査を受けていることを明らかにした。

時間外取引では、第3・四半期決算が黒字転換したアルミのアルコア<AA.N>が1.6%高。業績見通しを下方修正したファストフードチェーンのヤム・ブランズ<YUM.N>は6.6%下げた。

(カッコ内は前営業日比)

ダウ工業株30種(ドル)<.DJI>

終値         14776.53(‐159.71)

前営業日終値    14936.24(‐136.34)

ナスダック総合<.IXIC>

終値         3694.83(‐75.54)

前営業日終値    3770.38(‐37.37)

S&P総合500種<.SPX>

終値         1655.45(‐20.67)

前営業日終値    1676.12(‐14.38)