東京株式市場で日経平均は5日ぶりに反発した。米財政協議が進展せず、前日の米国株は大幅下落。為替も一時1ドル96円台半ば付近まで円高に振れたことで朝方は輸出株などに売りが先行した。 ただ日本株は9月末以降の下落ピッチが速く、短期的に下げ過ぎとの見方から押し目買いや先物への買い戻しが入り、プラス圏に浮上。円高一服感も支援材料となり、後場は堅調な値動きとなった。
松井証券シニアマーケットアナリストの窪田朋一郎氏は「日経平均が75日移動平均線(1万4048円19銭=8日)を下回る水準では押し目買い意欲が高まるようだ。7─9月期決算で上方修正が期待される銘柄は割安感を意識した買いが入りやすい」と述べた。東証業種別株価指数では電力・ガスや海運のほか、銀行、証券、不動産、建設など内需系の銘柄が物色された。半面、食品や鉱業、空運などは軟調だった。
日経平均は9月27日高値から前日終値まで値幅964円、率にして6.5%の調整となっているが、米財政協議をめぐる不透明感が重しとなり、戻りは限定されている。アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議や20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議など世界の主要会議で米財政問題の解決を求める動きが出てきたことは金融市場の混乱収束への期待につながっているが、「テクニカルリバウンドの域を出ない」(準大手証券トレーダー)との見方が多い。
個別銘柄では、沖電気工業<6703.T>が大幅反発。2013年9月中間期の連結最終損益が10億円程度の黒字に転換したもようで、期末には8期ぶりの復配見通しとの一部報道が材料視された。2013年3─8月期決算で経常利益が過去最高を更新したファミリーマート<8028.T>も堅調。
半面、ヤフー<4689.T>は年初来安値を更新。7日に発表したネット販売事業の新戦略について、短期的に利益面を圧迫するとの懸念が先行した。
東証1部騰落数は、値上がり915銘柄に対し、値下がりが727銘柄、変わらずが110銘柄だった。