前場の東京株式市場で日経平均は3日続落。9月6日以来、約1カ月ぶりに心理的節目の1万4000円を下回る場面があった。

前日の米国株安や円高警戒感を背景に幅広い銘柄に売りが先行。米債務上限引き上げ問題に対する投資家の不安心理は高まっており、株価の重しとして引き続き意識された。業種別株価指数では33業種中30業種が下落。東証1部全体の7割強が値下がりした。

来週11日のオプションSQ(特別清算指数)算出を前に1万4000円割れを狙う仕掛け的な動きもみられたという。オプション市場では権利行使価格1万4000円のプットの建玉が1万7000枚超と積み上がっており、同水準を下回る場面では先物市場へのヘッジ売り圧力が強まる可能性が指摘されていた。

ただ売り一巡後は下げ渋り、前引けでは1万4000円台を維持。中間決算を控え、国内企業業績の上方修正に対する期待感が下値を支えているという。SMBCフレンド証券・投資情報部シニアストラテジストの松野利彦氏は「日経平均のPERは15倍台であり、過去の平均から比べると若干割安な水準。業績上方修正で割安感がさらにクローズアップされれば、押し目買いが強まる」と指摘した。

個別銘柄では、日揮<1963.T>が反発。世界最大のエチレン生産設備を米国で受注したとの一部報道が材料視された。自社株買いを発表したイズミ<8273.T>や新導電材料開発で台湾企業への資本参加を発表した日本写真印刷<7915.T>も買われた。

東証1部の騰落数は、値上がり344銘柄に対し、値下がりが1307銘柄、変わらずが99銘柄だった。

(杉山容俊)

日経平均<.N225>

前場終値 14095.58

寄り付き 14029.73

安値/高値 13944.27─14106.17

東証出来高(万株) 129005

東証売買代金(億円) 9335.70