米政府機関閉鎖が10月半ば以降に長引いた場合、住宅ローンの承認プロセスが遅れ、住宅市場の回復が脅かされる可能性があるとの懸念が広がっている。
連邦政府職員の多くは自宅待機となっており、貸し手は借り手に関する内国歳入庁(IRS)や社会保障庁の収入・その他データを確認することができない。このため、融資の承認が難しくなる。
政府機関閉鎖による自宅待機者の収入減や景気の不透明感の高まりも、金利上昇ですでに減速感のある住宅市場の回復を脅かす可能性がある。
コミュニティ・モーゲージ・レンダーズ・オブ・アメリカのロバート・ジマー氏は「融資を希望する人にとっては切実な問題だ。政府機関閉鎖があと数日長引けば、住宅ローン申請は大幅に減るだろう」と述べた。
10月中旬に期限切れとなる連邦債務上限引き上げ問題でデフォルト(債務不履行)懸念が強まり金利が上昇すれば、混乱に拍車がかかる事態も予想される。
米連邦住宅局(FHA)による抵当保険の承認待ち期間も長引く可能性がある。
FHAの2972人の職員のうち業務を行っているのはわずか64人。このうち融資の承認業務などにあたっているのは約30人にすぎない。
政府機関の閉鎖は、住宅ローン債権買い取りや証券化を手掛ける連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の業務にも影響する見込み。
両機関は通常業務を続けるが、IRSの納税記録に基づいた収入証明などが入手できない事態が懸念される。社会保障庁に社会保障番号を照会できないことも問題となる可能性がある。