安倍首相の決断について、財政再建の視点からは厳しい評価が目立つ。「消費増税の
ために大規模な財政主導を繰り返すようであれば、財政健全化は実現しない」(斉藤氏)
ためだ。
特に公共事業について「3兆円超の積み増しを行って全体で5兆円規模まで膨らませ
る必要があったのか。2兆円の減税だけでよかったのではないか」(熊野氏)といった指
摘もある。
「昨年度の財政大盤振る舞いのツケが14年度の財政の崖となり、それを回避するた
め公共投資追加をするという悪循環にある。それを断ち切る政治的な意思決定がなされて
いない」(丸山氏)と言われても仕方のない状況にある。
本来であれば、増税よりも社会保障給付の削減こそが財政規律の観点からは重要だと
見られている。また、財政緊縮に力点をおきながら第3の矢である成長戦略の実効性を挙
げることも求められているが、「それまでに時間がかかるとすれば、金融政策への依存度
が益々高まる筋合い。結局、日銀は追加緩和に追い込まれる」(白川氏)といった展開も
予想されている。