米下院共和党のほとんどの議員にとって、政治的危険性という点で連邦政府機関閉鎖よりも大きなものがただ1つだけある。それは、政府機関の運営継続を目指して戦うことだ。
政府機関閉鎖は、共和党が来年の中間選挙で上院の多数派を奪還したり、2016年の大統領選挙に勝利する力を損なってしまいかねない。だが、暫定予算案と医療保険改革(オバマケア)の先送りをセットにして推進し続けている下院共和党議員にとって、そんな事態は知ったことではない。
ブルッキングス研究所の議会問題専門家、サラ・バインダー氏は「下院共和党には党の価値が傷つくことに痛手を感じない大きな集団が存在する」と述べた。
共和党が2010年の選挙で下院の多数派となったのは、保守主義の草の根運動であるティーパーティー(茶会)の支援があったからだ。
茶会系議員は全国的に出馬しているわけではないが、その地盤においては2010年の国勢調査結果を受けた慎重な選挙区割りの見直しと有権者の両極化が進んだおかげで、かつてないほど再選が安泰になっている。
クック政治リポートの見積もりでは、下院共和党議員232人のうち205人は来年の選挙で再選に向けて安全圏に入っており、なお情勢が伯仲しているのは11人にとどまる。
中道の有権者を取り込む必要が薄い一方、茶会系議員にとっては政府機関の運営を続けられる努力するよりも、引き続き茶会に忠実な保守主義の積極的な実践者だという証明を求められる圧力がずっと強まっている。
このため彼らとしては、オバマケアに強硬に反対しなかったと非難されるよりも、政府の資金が枯渇するのを許容する方がずっとたやすいのだろう。
かつて下院共和党指導部の側近を務めたケビン・マドン氏は「彼らにとっては選挙区に帰った際に、ホワイトハウスへの抗議として反対票を投じたという方が、なぜ賛成票を入れたかを弁明するよりずっと立場が良い」と語った。