<安倍会見で株安・円高進行>

日本時間午後6時過ぎ、安倍首相の会見が始まって間もなく、大証の日経平均先物<0#JNI:>とドル/円<JPY=>が急速に下落した。発言内容はほぼ市場の予想通りだったが、海外投資家の期待が大きい法人税減税について「真剣に検討を進めないといけない」との発言にとどまったことが、短期筋による仕掛け的な売り材料になったとみられている。

ただ、安倍首相が午後1時過ぎに消費増税決定を明らかにした直後、マーケットでは株高・円安が進行した。「消費増税と経済対策のパッケージ自体が失望されたというわけではない。株安・円高の動きは材料出尽くしに過ぎない」(国内証券)との声も出ている。

午後8時時点で、日経平均先物とドル/円は売り一巡後、1万4400円前半と97円後半の水準で落ち着いている。東証夜間取引で国債先物も小動きだ。

「日本株に投資する海外投資家にとって、巨額な借金を抱える日本の財政問題は大きなテールリスク」(外資系証券エコノミスト)とされ、消費増税決定は日本株投資の安心感につながる可能性もある。

ベイビュー・アセット・マネジメント運用第一部長の佐久間康郎氏は、安倍首相の会見について「日本に対して懐疑的にみていた中長期の海外投資家を再度引き付けるには十分な内容だった。短期的に株価を押し上げるような派手さはないが、国内外の長期リスクマネーが、より強い確信をもって日本株投資に向けられるだろう」と、好意的な見方を示している。