イングランド銀行(英中央銀行)が1日公表した国内主要銀行に対するストレステスト(健全性審査)の新たな枠組みによると、英国の銀行は海外銀行よりも高めの資本水準の達成を求められる可能性がある。
中銀は2014年から主要行を対象にストレステストを毎年実施するほか、過去のストレステストとは違い、今後は結果を公表する方針を明らかにした。
新たな枠組み下での最初のテストはバークレイズ<BARC.L>やHSBC<HSBA.L>など主要行8行を対象とし、結果は2014年末に公表する予定となっている。
その後、対象行を5年かけて拡大、外資系大手銀行の英子会社に対しても審査を実施する。国内中堅銀行に対しては、大手行の審査内容を簡素化したものが実施される公算が大きい。中銀は、清算機関に対しても健全性審査を行う可能性があるとしている。
またストレステストは、全銀行に同一のシナリオを適用する統一審査に加え、各行の持つぜい弱性を特定するための個別審査の2段構えで行われる。これにより各行が不足資本額を過小評価することは難しくなるとしている。

中銀は「銀行は最低限、ストレス状況下での損失を吸収するのに十分な資本を維持し、国際的に合意されている最低要件を下回らないようにする必要がある」と指摘した上で、「ストレス状況下で銀行が維持すべき資本の基準は、国際的に合意された最低要件より上に設定され、各銀行で異なる可能性がある」とした。
英当局はこれまでにも国内銀行に対し、国際的な基準を上回る資本水準を達成するように求めてきた。

中銀のタッカー副総裁は、「ストレステストは透明性と説明責任において大躍進をもたらすことが可能だ」と述べた。
1日の取引で英主要銀行の株価はおおむね堅調に推移している。
ヌミス証券の銀行調査担当ディレクター、マイク・トリピット氏は、銀行が、悲観的ストレステストのシナリオにも対応可能な程度の資本バッファーを積み増すために、十分に大きな利益を見通せるようになっていると指摘。
「銀行の資本は極めて強固で、ストレステストの詳細を見なくても、市場は銀行が難なく通過すると考えているようだ」と述べた。

2008年の金融危機以降、英当局は何回かにわたり、臨時の銀行ストレステストを実施している。新たな枠組みでは、当局は金融システム全体の健全性についても審査する。
問題が見つかった場合の対応措置としては、資本増強のほかに、デリバティブ取引の証拠金引き上げや、配当金やボーナスの抑制、リスクが高い事業の縮小を銀行に求めることや経営陣の刷新が含まれる可能性がある。