1日の米国株式市場は反発。議会で暫定予算が成立せず、一部政府機関が閉鎖に追い込まれたが、市場は今のところ閉鎖が短期間にとどまるとみているもようだ。
米議会は医療保険改革法(オバマケア)をめぐる対立から与野党が期限の1日午前零時までに暫定予算案で合意できず、政府機関の一部が閉鎖された。与党民主党が多数派の上院は同日、野党共和党が多数を占める下院から送付された医療保険改革法の変更を盛り込んだ暫定予算案を否決した。
米株式市場は政府機関閉鎖への懸念からこのところ下げ基調だったが、投資家は閉鎖が長期化しない限りこの相場下落は買いの好機とみて、この日は買い優勢に転じた。
ダウ工業株30種<.DJI>は62.03ドル(0.41%)高の1万5191.70ドル。
ナスダック総合指数<.IXIC>は46.50ポイント(1.23%)高の3817.98。
S&P総合500種<.SPX>は13.45ポイント(0.80%)高の1695.00。
RBCグローバル・アセット・マネジメント(トロント)のチーフエコノミスト、エリック・ラッセルズ氏は「ありがたいことに、市場は今回は政府機関閉鎖を問題ではないと受け止めた。今後影響が出始める可能性はあるが、個人的には支払いを受けられない人の数や生産が主な関心事だ」と述べた。
ラッセルズ氏は政府機関閉鎖の影響について、1週間ごとに第4・四半期の米国内総生産(GDP)を0.1%ポイント程度押し下げると試算している。
この日公表予定だった8月建設支出は政府機関閉鎖により公表が見送られた。与野党が合意に至らない状況が続けば、4日に予定されている9月雇用統計の発表も延期される恐れがある。
カンバーランド・アドバイザーズのチーフ・インベストメント・オフィサー、デービッド・コトク氏は「この状態が2週間続けば、(債務上限引き上げの期限とされる)17日が迫って来る。そうなれば緊迫度が徐々に高まる。債務上限をめぐる対立と暫定予算案をめぐる対立は関連しており、与野党に掛かる圧力は増す」とした。
アップル<AAPL.O>が2.4%上昇。著名投資家のカール・アイカーン氏が前日にティム・クック最高経営責任者(CEO)と夕食を共にし、自社株買いを強く勧めたとの報道が材料視された。
米医薬品大手メルク<MRK.N>は、2015年末までに年間営業費用を25億ドル削減し、全従業員の約10%にあたる8500人を削減する合理化計画が好感されて2.4%高となった。
アメリカン航空の親会社であるAMR<AAMRQ.PK>とUSエアウェイズ・グループ<LCC.N>はそれぞれ8.3%、3.9%上昇。両社の合併阻止を求めて提訴している米司法省が、政府機関閉鎖を理由に裁判所に審理の延期を要請したことが材料となった。
ニューヨーク証券取引所、ナスダック、NYSE・MKTの3市場の出来高は約60 億株と、年初来の1日平均の約63億株を下回った。ᆧ
*内容を追加して再送します。
(カッコ内は前営業日比)
ダウ工業株30種(ドル)<.DJI>
終値 15191.70(+62.03)
前営業日終値 15129.67(‐128.57)
ナスダック総合<.IXIC>
終値 3817.98(+46.50)
前営業日終値 3771.48(‐10.11)
S&P総合500種<.SPX>
終値 1695.00(+13.45)
前営業日終値 1681.55(‐10.20)