アナリストを評価するトムソン・ロイターのスターマインは30日、日本株アナリストの2013年のランキングを発表した。推奨した銘柄が投資判断通りの動きをしたかについて判定する「銘柄選定アワード」(総合)では、岡三証券の自動車担当、岩元泰晶氏が1位に、「収益予想アワード」(総合)では、野村証券の成田康浩氏(商社・流通業担当)が、昨年の2位からトップにランクインした。
ブローカーランキングの1位はモルガン・スタンレーMUFG証券で、昨年首位のUBS証券を抑えてのランクイン、2位には昨年3位の野村証券が順位を上げ、3位はUBSだった。
「銘柄選定アワード」(総合)で首位になった岡三の岩元氏は、対ベンチマークで24.0%の超過収益を上げた。推奨銘柄で高い利益を上げた銘柄の1つは富士重工業<7270.T>で、株価は調査対象の期間中、289%上昇した。
銘柄選定アワードで2位になったのはクレディ・アグリコル証券の不動産、資本財・サービス担当、ジェンキ・シムセキ氏で、対ベンチマークの超過収益率は19.7%、3位はマッコーリーキャピタル証券の運用担当、ニコラス・カニングハム氏で、対ベンチマークの超過収益率は16.9%だった。
業績予想(総合)で首位となった野村の成田氏は、過去にも業種別の業績予想でランキング首位になったことがあるトップアナリスト。今回は丸紅<8002.T>の業績予想について22人中1位、双日<2768.T>について5人中1位、住友商事<8053.T>について17人中1位の成果を出した。
成田氏に次ぐ2位には、キーフ・ブリュイエット・アンド・ウッズ・アジアのデイビッド・スレッドゴールド氏(商業銀行・金融サービス担当)、3位には同じく商業銀行・金融サービス担当で三菱UFJモルガン・スタンレー証券の佐々木太氏が入った。
スターマインは、投資推奨による収益率や収益予想の正確さに基づいて、アナリストの実績を客観的に評価している。スターマインアワードは、日本の銘柄を対象とした「銘柄推奨実績」は2012年7月─13年6月末の1年間、「収益予想実績」については、12年4月─13年3月末の成績に基づいてまとめた。
データについては、トムソン・ロイターI/B/E/Sの収益予想データと銘柄推奨データ、およびGICS(Global Industry Classification System)の業種分類を採用している。
GICSの業種分類が細か過ぎるなどの理由でランキングが困難な場合は、日本のアナリストのカバレッジ構成となるべく一致するようスターマインが複数の業種を組み合わせた。このため、一般的に周知されているアナリストの担当セクターが異なるケースもある。
銘柄選定アワードについては、アナリストの収益率はすべて業種ごとのベンチマーク(当該業種の全銘柄を時価総額で加重平均したポートフォリオ)と相対的に比較して決定する。各アナリストの推奨内容に基づいたポートフォリオを作成するが、このポートフォリオでは、買い(BUY)推奨の場合に該当銘柄を1株買うと同時にベンチマークを1株売り、収益率がベンチマークを上回ることによるクレジットが加算される。強気買い推奨の場合には投資効果を高めるために2株買い、ベンチマークを2株売る計算を行う。
他方、売り(SELL)推奨の場合には反対にベンチマークを1株買い、該当銘柄を1株売り、強気売りの場合には効果を高めるため、ベンチマークを2株買い該当銘柄を2株売ることになる。保留(HOLD)の場合はベンチマークを1株買い、超過収益率がゼロになるようにした。
ポートフォリオは、毎月、およびアナリストがフォローする銘柄のカバレッジに変更が生じた場合や、投資推奨が変更された場合に再調整している。
収益予想アワードは、スターマインが独自に開発した測定基準である「Single─stock Estimate Score(SES)」 によって、各アナリストの収益予想の正確度を測定する。SESは相対的な正確度を測定するため、アナリストは他のアナリスト集団と比較される。SES値は、ゼロから100までの範囲で50が平均的アナリストとなり、50以上のスコアを取得するには、他のアナリストとは著しく異なる予想と、より正確な予想の両方を満たす必要がある。