1位は、世界でも有数の殺人都市サンペドロスラだ。人口72万人弱のこの都市では、2011年には1143件の殺人が起こった。10万人につき159人が殺されている計算だ。犯罪率はアメリカの平均的な都市の40倍で、アメリカでもっとも危険だと言われているニューオリンズの8倍にもなる。

 国連の平和部隊ですら、この都市の犯罪を止められない。サンペドロスラで平和部隊の隊員が足に銃撃を受けてから、部隊はホンジュラスから撤退してしまった。国連の調べでは、2005年から2010年の間の殺人率は2倍になったという。他の南米諸国と同様、サンペドロスラも麻薬取引、極貧、汚職が原因の暴力の拡大に苦しんでいる。カルデロン大統領の麻薬組織との戦いで、いぶし出された多くの売人たちが、流血と違法行為の爪あとを残した。ある医者によると、銃撃で負傷した患者3人を受け入れたが、ひとりの殺し屋がふらりとやってきて、3人を撃ち、平然と歩き去ったという。