前場の東京株式市場で日経平均は小反落。前日後場に買われた反動や週末要因から利益確定売りが出た。円相場がやや強含んだうえ、米財政協議の先行きをめぐる不透明感も重しという。
ただ、外部環境の落ち着きや経済対策への期待感などを背景に底堅さを維持しており、日経平均は小幅高に転じる場面もあった。電力株や原発関連銘柄など個別株への物色が強まったことも指数の下値を支えた。
安倍晋三首相は10月1日午後6時からの記者会見で消費増税について正式表明し、併せて景気の腰折れを回避しつつ成長戦略を強化する経済政策を発表する見通し。市場では「5兆円とされる補正予算の歳出規模に加え、法人減税などと組み合わせたパッケージとして具体的な内容を見極めたい」(ちばぎんアセットマネジメント・調査部長の奥村義弘氏)との声が出ている。
総務省が午前8時30分に発表した8月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)は、100.4と前年同月比0.8%上昇し、3カ月連続のプラスとなった。上昇幅は7月の0.7%から拡大しており、「デフレ脱却への動きを印象付けた」(大手証券)という。
個別銘柄では、東京電力<9501.T>が大幅高。新潟県が26日、柏崎刈羽原子力発電所の新規制基準適合審査の申請を条件付きで承認することを東電に伝えたことで、原発再稼動による収益改善期待が高まった。木村化工機<6378.T>や日本製鋼所<5631.T>など原発関連株も高い。米国の炭素繊維大手、ゾルテック(ミズーリ州)を買収するとの一部報道を材料に、東レ<3402.T>も堅調だった。
東証1部の騰落数は、値上がり749銘柄に対し、値下がりが854銘柄、変わらずが142銘柄だった。